年に100万人ががんと診断される

がんの予防効果がある食品(フードピラミッド)
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●「がん」後 丸ごと支える 公益財団法人日本対がん協会会長 垣添忠生 氏

 がんに対する新しい治療法が次々に生まれ、約6割が治る時代になった。そのためがん患者に勤労者(20〜64歳)の占める割合が増え、ほぼ3割になっている。一方で、がんと診断されるとおよそ3分の1の勤労者が依願退職するか解雇になる。正社員になるのが難しい時代に、あまりにもったいない話だ。

 働きながらがんを治療することが現実の課題となってきた。昨年暮れに改正されたがん対策基本法は、がん患者の雇用の継続や就職に役立つ施策を求めており、日本対がん協会(JCS)も6月から「がんと就労電話相談」を始める。予約制で月2回だが、がんの経験者である特定社会保険労務士が、就労についての相談を無料で受ける。「仕事をどうしようか」と迷っているがん患者の方や、企業の人事担当者や産業医に活用していただきたい。

野菜は、がんのリスクを低下させる!
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 JCSは、がんを一度でも経験した人を「がんサバイバー」と呼び、人生の全過程で支援する「がんサバイバー・クラブ」を始めた。就労電話相談はその事業の一つだ。クラブはどなたでも参加でき、「がんに負けない社会」への国民運動を目指している。理解のある方や企業に運営のための寄付をお願いしたい。

 人と人が接触する支援の他に、インターネット上のホームページも1日午前10時に公式開設する(「がんサバイバー・クラブ」で検索。就労電話相談の予約電話番号も掲載)。サバイバーが欲しい情報に必ずたどり着けることを目指している。

 日本では年に100万人ががんと診断される。その人たちが最初に試みるのがネット検索だ。玉石混交の情報に惑わされ、生活を乱されることのないように、信頼できる情報を提供していきたい。

 これはノーベル物理学賞確実と言われたが2008年7月に直腸がんで亡くなった故・戸塚洋二氏に託された課題だった。私が治療に関わった戸塚氏は、科学療法と転移巣の大きさの変化など自らの治療暦を精密に記録していた。戸塚氏が知りたがったのは、同じような病態の人が受けた治療の内容と経緯で、「ネットで検索するコーナーを垣添さん、作ってよ」と言っていた。

 それから9年、ようやく戸塚氏の思いに応え始めることができる。がん治療に関する最新情報や信頼できる相談窓口の紹介のほか、氏が望んでいた患者の治療歴や、治験情報なども順次公開し、治療中の患者相互の対話の場も提供していく。

 日本のサバイバーは現在、700万人を下らないだろう。私もその1人だ。クラブを通じてサバイバーの声を集約し、最終的には国のがん対策基本計画にも反映させたい。

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