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宮田 哲郎

(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員

第46章 

平成21(2009)年5月1日号

海辺の横顔 ピエール・カシニョール画
海辺の横顔 ピエール・カシニョール画
目次
第45章
第44章
第43章
第42章
第41章

第40章
第39章
第38章
第37章
第36章
第35章
第34章
第33章
第32章
第31章
第30章
第29章
第28章
第27章
第26章
第25章
第24章
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第5章
第4章
第3章
第2章
新時代2
第1章
新時代1
はじめに


 10数年前、自社の考えや仕事の内容を「見える化」する

動きが企業のあいだに大流行しました。それはコーポレート

・アイデンティティ(CI)に関するものでしたが、会社が

目指す方向や製品コンセプトや基本性能を「スローガン」と

してPR、社名をおしゃれに図案化、「ロゴ・マーク」とする

ものでした。


 その後の1995年ごろ、三菱総研研究所が上場企業あて

に施した調査では、全体の78%以上に達していたそうです。

一方、CI導入の当初メリットは企業イメージ向上と従業員

のモラール・アップですが、結果として「企業戦略に革新が

起きたか」という問いには、7割の企業が否定的だったそう

です。


 実は、本当の目的は達成されておらず、ロゴ・マーク程度

で『お茶を濁していた』のです。ところで、いま明確なCI

を主張しているボウリング・センターは、いくつぐらいある

ものでしょうか、ね?


 
ボウリング場の場合は?

 ボウリング場のCIで最優先課題は、ボウリングが個人や

地域社会や体育スポーツ行政から期待されている多種多様な

ニーズに対して、「こうすれば、こう役立ちますよ」と明確な

主張を続けることを意味します。


 「近道」は国策に参画することですが、これが単なる商業

的動機であれば逆効果になることを肝に命じるべきでしょう。

思えば、ことしで「57歳にもなるボウリング」が後悔する

ことは、いままでずっと「単純な暇潰し」需要にのみ焦点を

当てていたことです。


 突然、起きた深刻な経済不況と10歳から20歳代の若者

が100万人規模で減少する中で、産業再生は地域に生きる

ボウリング場として「自社のこだわり」と専門性を主張し、

地域貢献を願う企業として行動を起こすチャンスなのです。

いくら考えてもほかの手段はありません。


 
5月のJARBA「総会」に期待する!

 いま、業界アイデンティティは重大岐路に立っています。

 着々とレトロ化が進む設備、現状維持しか頭にない管理者

(忙しすぎてまったく余裕がないのが現状)、人口構造と大衆

ニーズの歴史的大変化、そして「マス・セールスの限界」が

見えているからです。


 果たして、新しい需要はどこにあるのか?

 それは地域社会にあります。そして「社会に貢献する」行動

を通して、しだいに明らかになるはずです。


 ここまでいうと、あなたのお考えは「仮説でしょう?」と

おっしゃる・・・、実は分かった人に会います。とても嬉しく

思う根拠は、歴史上、新発見とか革新的な大仕事は、例外なく

仮説から発しており、個人的な情熱から生まれてきたからです。


 全国総会は、私の提言を多数の役員が「公けに検討する」場

です。どうなるか分かりませんが、業界の将来を危うくする

「性急な判断」がなされないことを望むばかりです。


 
アイデンティティとは、何か?

 もはや言い古されたことばですが、もういちど精査します。

 英語辞書には「同一性とかおなじもの」とあるのが誤解のもと

ですが、これだけでは完全な訳とはいえません。


 語義には、「個性」というニュアンスもあるからです。

 両者をつなげると『他のものと識別するか、できるもの』と

なります。結局、ボウリングに当てはめれば、地域社会と一緒に

働き、種目の特性や独自性を示すことがアイデンティティです。


 CI行動の重要ポイントは、ボウリングで「地域に貢献」する

こと、体験会や様々なイベントを通して、優れた種目特性が認知

され、引き続いて来場してくれることがゴールになりましょう。


 国策に参画、地域のクラブ活動によって自分が何者であるか

(self identity)、他者にどう思われているか

(imege identity)と自覚しているクールな

(cool カッコいい)業界になりたいものですね。では、

つぎにボウリング企業ならどうするか、を考えましょうか。


 
ボウリングのアイデンティティとは?

 言うまでもなく、ボウリング場は地域社会の支持がなければ

やってゆけません。最近はとくに利益のみ追求する企業を応援

する人は皆無です。そこで、ボウリング場のCIは、次の三点

が明確であるべきです。


 1.ボウリング場は、ゲーム以外では何をする会社か

 2.そのためにボウリング場は、どのように行動する

 のか、何をやるのか

 3.そして、それが自分自身(住民)と地域社会

 (行政)にとって、どのような意味があるのか


以上が企業の考え方(CI)であり、ここで働く者が意識

すべきことがら(戦略思考と呼ぶ)ですが、要は国策に参画

するなかに、全ての答えがあることはご賢察のとおりです。


 現代でもっとも嫌われる企業理念(商業的意図しかない)

をはるかに超える思想であり、企業と社会が一体になって、

win=win(双方にメリット)の関係になれるうえに、

『わが社は社会に貢献している』と胸を張れるのです。


 では、ボウリングの戦略的CIは、具体的行動とは何かと

聞かれますが、このコラムで40回 以上もお話してきまし

たから、もういいでしょう・・・。また、いまをときめく某

一流企業との競合で、どのような意味があるのかと聞く方に

は、「ビールでも飲みながら」でないとちょっと言えません。

ここは、私のささやかな企業秘密ですから・・・(冗談、冗談

・・・)。


 こんにちほど企業間の差別化が必要な時代はなかったと思い

ますが、単純娯楽のほかにボウリングに、顧客や社会が求める

効用について真剣に検討するなど、既存の旧来コンセプトだけ

で将来もやれるのか、存立が可能かどうかについて、みんなで

考えることが大切です。


 
成熟市場とこれからのボウリング場・・・

 くどいようですが、総会は本当に心配です。

 少なくとも、いまのままでは事業の発展は勿論、存続すら

危ういからです。事実、すでにセンター閉鎖が相次いでおり

、懸念は拡大するばかりです。


 現場の閉塞感は尋常ではなく、あの石油ショックの時代と

全く異なる様相を呈しています。つまり、人口構造の変化と

いう本質的危機原因があるからです。近い将来、最も大変な

企業は株式で経営資源を求めて、若者需要に大きく依存して

いるケースでしょう。


 経営者の選択肢はボウリング場経営を止める場合と業態を

少しづつ改良して収入を確保する方法があります。しかし、

その前に既存設備を生かして、業態または市場開拓方向の

変換(若者からシニア世代や家族へ、個から集団への需要を

開拓、遊び需要から公けへ、顧客リピート化など)を試みる

ことは必至でしょう。


 ある大資本会社は、テレビなどのマス・メデイアと近隣へ

のちらし配布を盛大に行い、同時に大規模なIT作戦や携帯

電話機能を活用する作戦を展開しています。それに比べて、

ごく小さな自己資本でやっている大方のセンターは、すべて

手詰まりです。


 後者のセンターが「全国的なキャンペーンをはる!!」と

したら、国策に手を上げる方法しか、選択肢はないのです。

「危機を回避する作戦」には、およそ4つのポイントがあり

ますが、いかがでしょうか。


@ 分析的アプローチ(市場調査)は、すでに必要がない。

 CIを丁寧に着実に地域に伝える、地道な方法しかない。


A 社員が共感できる作戦がよい。現在までのトレンド型は

 中央に任せ、現場は1対1マーケテイングが最適である。


B プロジェクトは、現場で「こだわりや理想」を語れる人

 (支配人より経営者がよい)が直接の指揮をとり、具体的

 戦略を着々と進める人物が必要である。開発業務は急いで

 前年対比できるほど急な成果を期待できないからである。


C 市場(クラブの考え方とボウリング需要、地域の有力者へ

 のロビー活動する)を監視、懇切丁寧なコンサルタント対応

 で初めて得られる、よい人脈から新しい需要を発見する。


 最後に、以上の戦略をすすめるには、当然ながらツールが必要

です。広告代理店の手馴れたコピー・ライターや専門家を(多く

は大学の先生か関係者)起用しますが、適任ではありません。

現場経験がないモノ書きが、小器用に、せいぜい誰かに取材した

程度の内容を「着色して」まとめたものでは、説得力がないから

です。


 また、「ボウリングの種目特性を現場で教える経験」がない人も

本当に拙いのです。プロ・ボウラーなら誰も同じではありません。

センター経営では、「戦略、営業システムの構築、スタッフ育成や

動機づけ」が重要です。われわれが国策に名乗りをあげる以上、

忘れてならないことは、まず『スポーツ振興法』の理念を理解、

すべての関係者が「価値観を共有」することです。


 経営者や現場担当者が持つべき価値観は、次の三点に集約され

ます。そのうち、いままで気付かなかったボウリング・ニーズが

しだいに顕在化するので、年月が経つほどプロジェクトの価値が

認識できるのです。


 1.行政やクラブがもつ地域の公的需要を誘致すること。

    ⇒ 学校体育や学校行事への採用、市民行事など


 2.コンセプトは「スポーツ」。当初は総合型クラブを誘致、

 あらゆる手段で提案、相談に応ずるなど応援活動を展開。

    ⇒ ボウリング種目によるクラブ間交流や町内会

 や学校区組織や住民の行事が種々 始まる


 3.協働するなかで生まれる信用と人脈が、地域に生きる

 ボウリング場の有形・無形の財産となって、経営環境が

 劇的に改善されること

    ⇒ 地域の社交場、子どもや高齢者、家族集団

 の集会場、誕生会・歓送迎会など行事が増加

*以上は、リレーション・マーケテイングの理想的な形と

いえますが、このようなことは「国策」があってはじめて

できることです。したがって、計画のどの部分も企業側の

論理で展開しようとしてはならないと考えます。


 現在のご時世で、しかも成熟市場では何をやってもなかなか

業績に結びつくことはありません。どう生きながらえるか、

などと受動的な「成熟宿命論」に陥る傾向がどうしてもありま

すが、国策に手を挙げて「儲けよう」と短絡するセンターなら

、最初からお止めになった方がよいでしょう。

組織図組織図
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