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宮田 哲郎

(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員

第47章 

平成21(2009)年6月1日号

バラの女 マリー・ローランサン画
バラの女 マリー・ローランサン画
目次
第46章
第45章
第44章
第43章
第42章
第41章

第40章
第39章
第38章
第37章
第36章
第35章
第34章
第33章
第32章
第31章
第30章
第29章
第28章
第27章
第26章
第25章
第24章
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第7章
第6章
第5章
第4章
第3章
第2章
新時代2
第1章
新時代1
はじめに


 先月は、久しぶりに2009年ジャパン・カップ(決勝戦・東京


体育館)を筑波大学 田中喜代次先生をお誘いして観戦しました。

スポーツ医学賞に輝く高名な教授ですが、なにを隠そう利き腕では

205アベ、左でも195を打つ真正マニア!、PBAのプレーに

鋭い質問を連発されるので、タジタジとなった、一日でした。


 また、ご自分のスコア分析をされた論文までいただき、偏差値の

高さに驚く一方、20年前にスポーツ統計学の(故)青山昌二教授

(東京大学教授)からいただいた膨大な(私的)論文を整理して、

何かの機会に専門誌かプロ協会でも紹介したいなと思いました。


 それにつけても、ボウリング・ファンは「両極化している」こと

に皆さんもお気づきでしょう。へたなプロでは及ばないほど、技術

情報に詳しい理系マニア、田中教授のようにシニア世代と本種目の

貴重な論文を下さる方がおられるのです。また、ぜひ業界リーダー

になっていただきたいと懇願したくなる熱いファンに出会うことも

たびたびです。


 私見ですが、ボウリングの色々な意味でのポテンシャルの高さは

、業界とは「別世界におられる方々」からよく気づかされます。

業界振興についても、慄然とするほど正論を述べる硬派のファン

(ブーム時代から年季の入った方々)からは、常に愛情あふれる

アドバイスをいただき、共感しながら、頭が下がる思いがします。


 さて、最近のボウリング事業について、考えて見ましょう。

 20年前のことですが、自社の考えや仕事の内容を「見える化」

することが企業で大流行しましたが、覚えておられますか?


 
当社の事業は、何か?

 当時の見える化は、会社のアイデンティティ(CI)に関するもの

でしたが、会社が目指している方向や製品コンセプト、商品の基本的

な性能をスローガン化してPR、(分からなくなるまで)社名を大胆に

変えたり、図案化してロゴ・マークとするものでした。


 1995年ごろ、三菱総合研究所が上場企業数百社に施した調査は

、全体の78%以上に達していたそうです。CI導入メリットは企業

イメージ向上と従業員のモラール・アップだったそうですが、結果と

して「企業戦略に革新が起きたか」という問いには、7割の企業が

否定的だったのです。


 どうやら、本当の目的までは達成されておらず、ロゴ・マーク程度

で『お茶を濁してしまった』のです。ところで、社員向けの経営理念

をもたないセンターを見たことはありませんが、明確なCIを外部に

向けて発信・主張しているボウリング・センターは、幾つぐらいある

ものでしょうか?


 私見ですが、いまのところ、ボウリングCIで最優先となる課題は、

ボウリングが個人や地域社会や体育スポーツ行政から期待されている

多種多様なニーズに対して、「こうすれば、こう役立ちますよ」と明確

な主張を展開すること(が現代的だ)と思います。


 その近道は国策に参画することですが、これが単なる商業的動機で

あれば逆宣伝になるでしょう。思えば、「ことし57歳になる」業界

が後悔することは、ずっと「単純な暇潰し」需要にだけ焦点を当てて

きたことで、このままではボウリング事業の明るい将来に禍根を残す

と思います。


 残念ながら、この考えに同調する人はまだ少ないのですが、深刻な

経済不況と10歳―20歳代の若者が100万人規模で減少中のいま

、産業の再生は地域社会に生きるボウリング場として、「自社CIと

こだわりと専門性」を正しく主張し、地域貢献を願う企業として行動

を起こすチャンスなのです。


 業界は重大岐路に立っていますが、貧弱な私ごときが幾ら考えても、

ほかの手段はありません。あったら、教えて欲しいのです。


 着々とレトロ化が進む中、現状維持(パソコン用語で最適化)しか

頭にない現場管理者(忙しすぎて、まったく、余裕がない)、人口構造

と大衆ニーズの歴史的大変化、そのうえ「マス・セールスの限界」が

誰の目にも見えている状況です。


 果たして、新しい需要はどこにあり、どうしたら顕在化できるか?

それは地域社会の中にあります。すでに迷っている時間は、ほぼなく

なっています。


 
ボウリングのアイデンティティを主張

 言い古された言葉を、もういちど精査しましょう。

 英語辞書に「同一性とか、同じもの」と訳してあるのが誤解の元

ですが、これだけでは完全な日本語訳とはいえません。


 原語に、「個性というニュアンス」があるからです。

 両者をつなげると、『他のものと識別するか、できるもの』とか

哲学や理念を示すことになります。これをボウリングに当てはめる

と、地域社会と一緒に働き、種目の特性や独自性を示し、主張する

こと(差別化)が本当のアイデンティティだと思うのですが、拡大

解釈しすぎになるでしょうか?


 結局、ボウリング場の「CI行動のひとつ」をあげるとすれば、

ボウリングで地域に貢献することです。体験会に招き、懇親会など

多様な行事を通して、優れた種目特性が認知され、楽しまれた結果

、多くの人に引き続ぎ来場してもらうことです。費用は、ほとんど

かかりません。


 これなら、一流企業を真似て音楽ホールや美術館を建設する必要

がありません。国策をよく検討理解して、ボウリングの特性を生か

して参画すること、地域のクラブ活動に協力しながら、ボウリング

が何者であるか(Self identity)、他者にどう思われ

たいと思っているか(Image identity)を主張・訴求

、更に上位のイメージ(ブランド・イメージ)を構築するのです。


 若い人たちにも、ボウリングは判ってる、クールな(cool!

カッコいい!)業界だな、と思わせたいものです。


 
ボウリング場のCIは?

 とにかく、ボウリング場は社会の支持がなければやれません。

 最近は企業の不祥事が続き、利益のみ追求するような企業を応援

する人は皆無です。


 どの会社も当社の経営理念は・・・とうたっていますが、理想的

CIは、次のポイントを「押さえている」いる必要があります。


  1.当社には、ボウリング場としての夢がある。

  2.そのため、このように行動したいと願っている。

  3.この行動が住民・地域・学域の社会と行政にとって、

  「どのような役割があり、メリットをもたらすか」を

  実証したい・・・。

 以上のような表現は、「いささか、理想主義過ぎて」、イメージが

湧きにくいかもしれませんが、私が社長なら一度は言って見たいと

思っていることがらです。うまい言い方は、どうかそれぞれお考え

ください。


 ボウリング場の基本的CIとここに働く者や関係者が意識すべき

こと(戦略思考)の一例ですが、国策に参画する行動にすべて答え

があることは、ご賢察のとおりです。


 企業が適性利益を追求するぐらいのことは、世間の常識です。

CIで示した、「ボウリング場に相応しいやりかた」で国策参画

できるなら、企業と社会が一体になり、win=win(双方に

メリットがある)の関係になれるうえ、わが社は社会に貢献して

いると、みなが胸を張れるのです。


 では、「ボウリング場の戦略的CIは、具体的行動とは何か」と

聞かれるでしょうが、このコラムで40回 以上もお話してきまし

たから、方法論はもういいでしょう・・・。


 また、いまをときめく某一流企業との関係で、どのような意味が

あり、適正利潤を生む方法があるのかと聞く向きには、「ビールでも

飲みながら」でないとうまく言えないのです。ここから先の詳細は、

私のささやかな企業秘密ですし、誰かを傷つけることを恐れない、

本音を語ることになる危険もありますし・・・(いいえ・・・冗談)。


 
なにはともあれ・・・

 いまは、企業間の「差別化」がもっとも必要な時代です。

 ボウリングは単純娯楽需要のほかに、個人顧客や地域社会が求める

メリットやサービスについて真剣に検討すべきです。旧来の方法だけ

で将来もやれるのかどうか、が判断のポイントです。


 また、経営の選択肢は、ボウリング場経営を止めるか、業態を少し

づつ改良して増収を図る方法があります。しかし、その前に既存設備

を生かして、業態改良または市場開拓(若者からシニア世代や家族へ

、個から集団へ)の需要を開拓、遊びニーズからおおやけへ(公)、

顧客のリピート化)を試みることが不可欠でしょう。


 誰でもTVなどマス・メデイアと近隣のちらし配布を盛大に行い

、全国的な規模のIT作戦や携帯電話を活用する作戦を展開したい

と思っておられるでしょうね。しかし、予算もない知恵も足りない

現場はすべて手詰まり、閉塞感でいっぱいです。


 とにかく、いま「全国的なキャンペーンを張る!!」としたら、

国策に手を上げるか、莫大な金額を使って場協会が進めるしかあり

ません。いまできる戦略をあれこれ考えると、次の4点になるので

すが、如何でしょうか。


 
危機回避作戦・4つのポイント

  @分析的アプローチ(市場調査)と評論家は、すでに必要

 がない。CIを丁寧に、着実に、地域社会に伝える、地道

 な戦略を営々 続ける以外に選択肢はない。


  A社員が共感できる作戦がよい。過去型のマス・マーケテ

 イング(トレンド手法)は業界中央に任せて、地域の現場

 は「1対1の関係性マーケテイング」が最適である。


  Bプロジェクトは、現場で「こだわりや理想」を語れる人

 (経営者がよい)が指揮をとり、具体的戦略と夢を語り、

 着々と進めたい。そもそも開発業務は、すぐに前年と対比

 すべきではない上に、急速な成果を期待する向きが(業界

 には非常識なまでに)多いからである。


  C 最初はクラブや行政の考えに対応、ボウリングとボウ

 リング場の役割と期待を有力者へ正しく伝える「ロビー

 活動」が先行する。懇切・丁寧なコンサルタント型手法

 を駆使して、地域人脈から新しい切り口と需要を求めて

 ゆく。


 ここで重要なことは、すべての業界関係者が価値観を共有、行動する

ことでしょう。手つかずだった「キッズ・ジュニア」の振興ならば教育

、シニアは[健康と社交のスポーツ]が基本コンセプトです。新需要を

顕在化することは簡単ではなく、[その道の方々の人脈と専門家の友好

的な協力]がなければ、険しいものになると思われるのです。


 
ボウリング場だからできる、社会貢献

忘れえぬ、鮮烈な思い出! からしまボウル(福島市) 母と子のボウリング体験会

忘れえぬ、鮮烈な思い出! からしまボウル(福島市) 母と子のボウリング体験会


 *今月は、次の参考資料を読み込み、参考にさせていただきました。


 @原田宗彦 編著「スポーツ・マーケテイング」大修館書店

 A宇野善康著[普及学講義]イノベーション時代の最新科学 有斐閣選書

 BPFドラッカー著[イノベーションと企業家精神]ダイアモンド社・上田惇生訳

 C和田秀樹著「頭がよくなる、仮説力のすすめ」アスキー・コミュニケーション

 D日野圭恵子「クチコミュニテイ・マーケテイング」朝日新聞社

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