普及活動のページ レッツ・ゴー・ボウリング!

宮田 哲郎

(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員

第54章 

平成22(2010)年1月1日号

ばら色の帽子の若い女 マリー・ローランザン画
ばら色の帽子の若い女 マリー・ローランザン画
目次
第53章
第52章
第51章
第50章
第49章
第48章
第47章
第46章
第45章
第44章
第43章
第42章
第41章

第40章
第39章
第38章
第37章
第36章
第35章
第34章
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第28章
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第7章
第6章
第5章
第4章
第3章
第2章
新時代2
第1章
新時代1
はじめに

 あけましておめでとうございます。

 昨年はこのコラムをお読みくださり、ありがとうございました。

 本年もよろしくお願いします。



 民主政権の「事業仕分け」で、文部科学省・日本体育協会管轄の

体育・スポーツ行政が大混乱しています。自民政権時代のスポーツ

庁構想も暗礁に乗り上げており、なんと言っても行政事業の継続性

が*大きく損なわれたと思わざるを得ません。


 *全国3,000に及ぶ総合型クラブは、盛んに活動中です!


 ノーベル賞受賞者の野依良治先生も言われましたが、目先の結果

ばかりで国の事業を評価することは、きわめて慎重にすべきです。

TVを見て喝采した人は、天下って法外な額の「公金を食む輩」を

排除することは正義であり、それを愉快に思っただけのはずです。


 言うまでもなく科学や教育分野は、企業でいえば競争優位に立つ

ための先行投資です。現代は「1番になる」リスクをとらない企業

が発展することはごく稀であり、戦略上あってはいけないことです。


 2番ではいけない理由はあるのかと偉そうに言い放ったタレント

崩れのオンナ議員はなんだ!と怒りまくる友人がいましたが、実に

同感です。自分の分際をわきまえない人物が、少なくとも次の選挙

ではどうなるか、「浅薄な輩」が国会議員であってよいとは絶対に

思いません。


 
一年の計は、元旦にあり

 業界の将来は、眠っているスポーツ需要を喚起できるか、否かで

決まります。本コラムで一貫して申し上げていることですが、元旦

らしく「計」のもとになる3種類のデータを整理してみましょう。


 この考えが正しいか否かは、いろいろな地方(ボウリング場)が

一定期間検証して分かることですが、「時間こそは成功を生む母」で

ありましょう。私は常々、下記の資料を経年分析しています。

 1.「人口動態調査」厚生労働省

 2.「特定サービス産業調査」経済産業省

 3.「レジャー白書」(財)社会経済生産性本部

 4.「体力・スポーツに関する世論調査」内閣府

 5.「ボウリング愛好者調査」(社)日本プロボウリング協会


 さて、1992年以来、ずっと業績が下降している原因を不況の

所為に求めることはまちがいです。若者向きのアイテム(携帯電話

やWiiなど)など競合の登場は理由になりますが、近年では業界

の*マンネリもあるとにらんでいます。

 *魅力的なボウリング・マシーンやイベントが足りない。


 じつは、90年代に「生産年齢」といわれる15歳から64歳の

人口減が始まっており、95年には「ピーク」を打っていたのです。

過去10年間で3%減っていますが、ボウリングは2005年から

「10歳から20歳代」の若者人口が猛烈に激減、売り上げ減少を

招いているのです。


 つまり、およそ250万人の若者マーケットが自然減しており、

ボウリング参加率が45%前後(男女平均)だけに100万人以上

もボウラーが減っているのです。ひとり2.5Gとして計算すれば、

現在の業況になります。


 
(1)人口減少時代のメガ・トレンド

 経済が拡大一辺倒だった時代に育ったボウリング事業は、テレビ

対策などマス・マーケテイングだけでやってきました。が、いまは

原資も不十分なうえ、ボウリング自体の「新しさ」も消滅しました。


 有名人・芸能人のボウリング・ニュースは、私が提案する方向、

スポーツ・コンセプトでは逆作用すると心配しています。専門家は

、つぎの8項目を人口減少時代のメガ・トレンドとしていますが、

どれもボウリング事業にあてはまると思います。


 1.大量生産・大量販売  ⇒ 少量生産・付加価値販売

 2.ナンバー・ワン      ⇒ オンリー・ワン

 3.モノ(商品)を売る     ⇒ こと(サービス・感動)

 4.一把ひとからげの大衆 ⇒ 個々のお客さま

 5.若者             ⇒ オトナ(熟年)

 6.大型デイスカウント   ⇒ テーマ・パーク型

 7.スピード重視       ⇒ スローな生活

 8.年齢・所得階層別   ⇒ ライフスタイル別

 以上の潮流を勘案するとおよそつぎの考え方が生まれるのですが、

いかがでしょうか?


 
(2)「白書」は、ときどき・・・役立つ

 人の意見を丸呑みしないタイプの私は、「白書」で感心することは

めったにありません。*データ採取に制限があって「市場を深読み」

することは専門家のようにはできないところが物足りないのです。

*取材先が公益法人の「・・・協会」に限られていることもある。


 しかし、大きなトレンドを読むには欠かせないものです。

 売上げデータでは「特定サービス産業調査」経産省は3年にいちど

の頻度ですが、経年変化の観察には完璧です。また、顧客の定性分析

は「現場にいる」自分でやっていますが、少し前の愛知県を中心と

する東海地区ボウリング場協会の「若者へのアンケート調査」は、

実に貴重な資料でした。


 さて、前出メガ・トレンドを仕事に反映すれば、とりあえず市場

の「深堀り」ですが、量より質、ボウリングに付加価値を創出する

ことになります。新しい価値はどこにあると思いますか?


 このコラムで人が「ボウリングする理由」、大衆が「スポーツする

理由」などは種々の調査があり、そこから*属性(男女・年代別)に

詳しく紹介しましたが、昨年11月 発表の「体力・スポーツに関する

世論調査」内閣府でも、次のことがらが分かりました。


 1. 平成3年以降、運動不足を感じる男性が年々 増加しており、

   73.9%に達したが、女性は年々 減少、25.9% である。


 2. 運動・スポーツする理由の上位は、健康体力つくり、楽しみ・

   気晴らし、運動不足の解消。ボウリングは15.7%で、ウオー

   キング48.2%、体操26.2%につぐ3位だった。


 3. 「この1年で行なったスポーツ」で常にベスト・フアイブに

   入っており(大概は第3位)、ボウリングの人気は安定している。

   スポーツ種目ではトップか、器具を使わない体操につぐ第2位

   である。


 以上の結果は、じつは予想通りでした。


 いろいろ考えると結局、将来の事業の継続と繁栄に経営パラダイム

のシフトが絶対に必要です。なにしろ若者人口が激減しており、回復

の見込みがないのですから・・・。


 
(3)出発点はパラダイム・シフト

 遊び需要を独占しているボウリングは、不景気で陰がさしています

が、依然 根強い人気がありました。しかし、肝心の人口が激しく減少

しており、遊び以外の新しいニーズを見つけ、育てなければなりません。


 一方、ラウンド・ワン社は独占している感がある若者顧客にスポーツ

・ボウリングの出発点となる「番長や甲子園」企画を発表、リピートの

動機づけに華々しく成功しています。敬服!有言不実行の我々とは違い

ますね。


 本来、遊びは「もっとも私的なもの」ですが、遊び以外では「楽しい

スポーツ需要」があり、地域振興とか大衆の健康促進など、体育・スポ

ーツ行政にも大いに「馴染んでいる」ことであります。民主党がなんと

言おうが大切なことです。


 「遊びイメージが強いボウリング」で、そんなことができるのかと度々

問われますが、十分できることです。理由は、スポーツの定義や価値観

に多様な捉え方があり、ボウリングに「不利だとは言えない」からです。

つまり、「*共感する人だけを相手に、仕事をすればよい」と考えます。

 *ターゲットは地域住民とスポーツ行政、主に総合型クラブの方々。


 大切なことは遊びイメージを逆手にとるか、さらに「新しい価値を

みつけるか」して提案の仕方を改良するのです。私に成案があります

が、この戦略なら「新しい資源が自ずから見えてくる」と確信します。


 
(4)「ボウリングの木」を植えましょう!

 ニーズが複線化すれば、「遊び需要に的を絞っていた」事業の定義も

当然 変ります。現場では客は来るもの、不況はいつか去り、いつか

成長できると誤解しており、人手不足も手伝って、地域へ打って出る

基本業務がおろそかになっています。


 いま事業定義を見直し、経営のパラダイム・シフトをはかるのです。

 目的は地域に眠る『おおやけのボウリング・ニーズ』の顕在化です。

「手つかず」のキッズやジュニアがまだ1,000万人もいるのです。

経営者が集い、戦略を立て、地域のボウリング・コンセンサスを創り、

顧客を増やすのです。いまからでも大丈夫です。


 ゴールは「生活文化の一翼をになう」ことです。

 ボウリングを、文化向上の一助にしたいと心から思います。大きく

広く普及させるには「しっかりとした根を植える」ことが必要ですが、

いつ花が咲き、うまい実が『結実』するのか、ブームに浮かれて『木

を育てた』事例が乏しいことが残念でなりません。


 花は、遊びと暇潰しなど、競合が多いものです。一方、根は年齢・

性差・経済的条件、なによりも目的でやりかた、楽しみ方が異なる

スポーツと考えます。花は、いくら栄養と水を与え続けても、必ず

枯れますが、根は枝葉を生やし、花を咲かせ、結実させます。


 遊びは一過性が強く、競合に負けるときがきます。スポーツなら

、幾ら繰り返して飽きません。地域を構成する最小単位の家族には

子どもの教育、本物志向のシニア方はスポーツ・コンセプトだけが

通用するのです。

 つぎのように結論します。

 1.ニーズの本質を堀下げ、多様化している需要に応える

 2.サービスの高付加価値化、スポーツ・セールスを加える

 3.新しいボウリング商品をつくり、提案する
業界の課題


 (5)「エンジョイ・ボウリング」発刊!

 東京ボウリング場協会城北支部の依頼で執筆を進めていた本が、

2月末発刊です。およそ36ページですが、美しいカラーで多数の

イラストを挿入、入門者にはもちろん、ベテランも興味しんしんの

高度な最新ボウリング科学をやさしく取り入れた野心作です。


 40年以上になるコーチング経験をちりばめたので、「教室」や

しかるべき方々への「プレゼント」として最適と思います。読者の

属性で熟年・女性・マニアックな若者も意識しましたので、きっと

役立つと思います。図書名は支部の与那覇 健プロ(練馬トーホー

・ボウル支配人)が中心になり、名づけてくれました。感謝!!


 *問い合わせは、東京ボウリング場協会 03−3249−5771

 
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