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宮田 哲郎

(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員

第59章 

平成22(2010)年6月1日号

紅衣 宮本三郎画
紅衣 宮本三郎画
目次
第59章
第58章
第57章
第56章
第55章
第54章
第53章
第52章
第51章
第50章
第49章
第48章
第47章
第46章
第45章
第44章
第43章
第42章
第41章

第40章
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第6章
第5章
第4章
第3章
第2章
新時代2
第1章
新時代1
はじめに

 このコラムを始めて、もうすぐ5年です。この間、いろいろな方から

感想やご質問、問い合わせをいただき、そこからヒントが生まれます。


 最近では、マーケテイング分野における「フリー」の概念です。

 化粧品の試供など、無料体験をベースにする手法ですが、米国で凄い

話題になっている*クリス・アンダーソンの著作です。もとはIT産業

の発想と思われていますが、もう,読まれましたか?

 *「フリー」無料からお金を引き出す新戦略 NHK出版


 当然、われわれの事業にもフリー戦略があります。

 「ラーン・ツー・ボウル」通称LTBのことですが、このごろLTBを

営々と続けているセンターは少なくなりました。


1.業界に巣食う慢心!

 ここ数年、支配人やプロの会議で、気づくことがあります。

 業界力を過信していることです。理由なき慢心が巣食っており、過去

の成功例から脱出できない人を多く見ます。


 いわく、ボウリング場がなければ、ボウリングはできないでしょう?

とか、世間はいつもボウリングに関心を抱いているだろうと思っている

ことです。このような固定観念(レガシー)が現在の苦境を招き、業界

の将来を暗くしていると思うのです。もし、身分を隠して聞いてみれば、


 世間でボウリングに関心を持つ人に出会うことは、「せいぜい1%」ある

や、なしやと思います。私自身は総合型地域スポーツ・クラブに携わり、

多様な市民、行政の人と常時つきあっているので、すぐ判ります。


 否定しても、これは事実です。

 批判ではなく、仕事人の自戒です。


2.発想はすべてニーズから

 さて、フリーの概念をどのように応用するか?

 その前に、人は自分の関心のあること、利益になること、将来はかく

ありたいと思うこと以外に興味を示しません。どんなことも、自己中心

的な態度を崩さず、自分(のニーズ)にあうか、否かで行動するのです。


 お金がかかることなら、人はなおさら慎重です。

 しかし、フリーの成功例はすべて共通点があります。つまり、需要の

芽を読み解き、そこに「仮説をあてはめ、実業に育つまで」営々と続け

ていることです。


 栄光の陰に涙あり!

 フリーは、隠れた巨大需要を掘り起こす仮説であり、最初の一歩です。

 先駆者たちは情熱を燃やし続け、需要の顕在化のために不可欠な商材

のマーケテイングとマーチャンダイズのありかたを探り続けています。


 本書は無数に繰り出される事例と「切り口の多様性」に辟易しますが、

巨大産業に結びつくプレゼンが成功する理由を深く考えるには最適です。

翻って、ボウリングが単なる暇つぶしや遊び、せいぜい友だちつきあい

やストレス発散で、半世紀もやってこられた幸運に感謝したくなります。


3.再考したい・事業の本質

 本題に入りましょう。

 商材としてのボウリングに、持続的成長をもたらす要素は、スポーツ

の「社会性と公共性、個人の欲求を充足できる優れた機能」を生かすこと

に尽きると思います。


 ここに至っても、TVだ、メデイアだと言い張る場(会議)ではまるで

受けない考え方ですが、「スポーツ・コンセプト」が通用しないとすれば、

われわれは『限界産業』への道を歩むことになるでしょう。


 ボウリングの優れた機能を広めれば、地域を活性化、医療費を軽減します。

 毎年、行政は多額の予算を使って地域スポーツ振興に励んでいるのです。


 業界は、なぜ行動しないのか? 身の程を知らない、慢心し切っている

人たちは、いつまで自力でやろうとするのか、ふしぎでなりません。業界

が疲弊しきっているのに、ここに気づかないのは、やはり慢心のせいなの

です。


4.ヒトは感動したがっている

 ボウリングは「娯楽のアイテム」として長く愛されてきました。

 仮に、ボウリングが単なるレジャーだとしたら、将来は知れています。

 いち早く、新しい価値を商材に付加する試みを始めるべきです。


 フリーは、*体験マーケテイングの一種です。業界はこの手法に詳しく

なく、やろうとする人も少ない現状です。自分のセンターで営々くりかえし、

*集客と定着のスキルを育てるしかありません。

 *これを、芸能得意?の代理店に丸投げしたら、やはり失敗する。


    図:ボウリングの「くちコミ」をつくる



特記 @ 体験会といえども、センター主催では多数の地域住民を

    動員することは難しい。大義名分と信用を欠くからである。

    A くちコミは、テレビ・新聞・雑誌・ネットなど一方的な

    情報とは異なる説得力があり、自然に大きく広がる。また、

    B 「期待レベル」を上回るために、ボウリングという商材

    を高機能化、ブランド化することである。


5.結論

 一個150円の「レモン」も、絞って砂糖水と炭酸を混ぜ、美しい

容器でサービスすれば、少なくとも500円以上の「レモネード」に

変る。これがボウリングの生きる道である。


 なん億円も投資して、後に引けない経営者、ボウリング業を生涯の

仕事にしたい人(プロ・ボウラーの大半)なら、仮説を成功させる仕事

を始めるべきである。


 これが業界主流にならない理由は、現場は対・費用効果という*短期

評価の「罠」にはまっており、過去の成功体験から抜け出せないからで

ある。さらに、地域の公的スポーツ需要に気づかないからでもある。


*顧客開発の「中長期計画」を怠ってきたセンターは、等しく短期に

評価しようとする。地域社会を対象としている『分母が万人』単位の

大規模開発の評価基準を知らないからであろう。      

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