四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−5

 箕輪加奈選手
箕輪加奈選手
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●加奈ちゃん

 「加奈ちゃんを見ているとウサイン・ボルトを連想するんだよね」

 「ほんとですか?じゃ、今度、レ−ン上でボルトお得意のポ−ズ、やりましょうかぁ」

 そんな会話が出来てしまう箕輪加奈選手に話を聞いたのは、彼女にとって高校生最後の夏休みも終わりに近い8月の末でした。私がよくおじゃまする北小金ボウルでアルバイトに来ていたところをつかまえたのです。

 屈託のない笑顔が印象的な箕輪選手は、外見だけだと典型的な明るい今どきの高校生。だから、いつも陽気に振るまう陸上短距離のス−パ−スタ−、ウサイン・ボルトを連想したのですが、彼女は今年、新たにユ−スナショナルチ−ム入りした4人の中の一人。日本を代表する女子選手なのです。(JBCのトップ選手は)どちらかというと感情を表に出さず静かに燃えるタイプが多い中で、明るさが前面に出る箕輪選手は少数派だと思います。

 「ユ−スに選ばれたのはうれしかったのですが、国体のメンバ−には落ちちゃったので、それがすごいショックで…これは今までボウリングをやってきた中で一番のショックかもしれません。国体予選は4月だったのに、夏休みに入っても始めの頃はなにもやる気になれなくて、ほんとに家でゴロゴロしていました。未だに気持ちの整理はできていない気がします」

 表面上は全然わかりませんでしたが、このときは、まだかなり暗い精神状態だったようです。

 名門堀越高校に千葉(船橋市)から通うということは、国体では少年少女の東京代表を目指すことです。昨年はそれを成し遂げながらも国体での成績が振るわず、ラストチャンスの今年に賭けていた…それを逃したことがほんとうに悔しかったようです。

C−BICサンプラザ(提供JBC)C−BICサンプラザ(提供JBC)
C−BICサンプラザ(提供JBC)

 「大学に進学後(予定)も国体はやっぱり東京から成年女子でと思っていますが、将来は福祉の仕事に就きたいので、学連には入らず学業にも力を入れたいと思います。競技としてのボウリングは大学を卒業するまでのつもりです。だから、というかボウリングも絶対がんばって大きなタイトルを取りたいのです。そうはいっても今年は高校最後の夏休みだし、いろいろと遊びたかったけど、結局、途中からはアルバイトにボウリングの練習に…でおわっちゃった感じかな。でも、振り返るとなんだかいい夏休みだったような気がします」

 気持ちは複雑ながらも前向きに羽ばたこうとしている17歳の乙女心が見えるようです。

 彼女のボウラ−としてのすごさを最初に感じたのは中学2年で中学選手権を制したときでした。そのときの決勝の相手は、今や日本のエ−スと言っても過言ではない1学年上の向谷美咲選手、向谷選手は1年時に準優勝、2年で優勝、連覇は確実と見られていました。その向谷選手を破ったのです。

 「うわっ、すごい子が現われたなあ」

とそれ以来、私なりに注目して見ていたのですが、箕輪選手からは、不思議なぐらい全然すごさが伝わってこないのです。それが、今回話しを聞こうと思ったきっかけだったのですが、冒頭のような会話ができてしまう軽さの裏にはしっかりした考え方とビジョンがあって、それが強さにも繋がっているのだなあと妙に納得した次第です。

 箕輪選手の話を聞きながら、

 「ボウリングの…というより、日本の未来は明るい!」
なんて思ったりもしました。

 「そうかあ。ちゃんと考えているんだね。ところで、その笑顔、ひまわりみたいでとてもいいなといつも思ってたんだ」

 「え〜っ!?私、花はガ−ベラが好きなんですけど…でも、ひまわりもいいかな」
と屈託のない笑顔がまた返ってきました。

 その笑顔は、将来、目指しているという福祉の仕事にもきっと役立ちますよ、加奈ちゃん!

 ボウラ−としても、改めて応援したくなる一人です。



四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 7月からは、フリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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