四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−9

 2年連続三冠王の川添奨太プロ(提供:JPBA)
2年連続三冠王の川添奨太プロ(提供:JPBA)
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●めざすは『世界』

 2012年もあっという間に1ヶ月が、経過してしまいましたね。皆さん、今年はもうすでに何ゲ−ム(何十?何百?)投げました?

 今月は、9〜11日に博多で開催されるボウリング界の新しい試み、インタ−ナショナルチャンピオンシップスが大変楽しみですが、その前に、改めて2011年暮れに行われた大きな大会をいくつか振り返って、2012年に気持ちを切り替えようと思います。

 まず、川添奨太プロが大会2連覇、並びに公式戦5連勝を飾った男子の全日本プロボウリング選手権(12月1〜3日、埼玉・スポルト上尾スポ−ツレ−ンズ)から。

 決勝ステップラダ−に2位で残った川添プロは、優勝するためには、3位決定戦に勝ち、トップシ−ドで待ち構える細井康司プロに連勝しなければなりません(全日本方式の決勝ステップラダ−は、優勝決定戦だけ、勝ち上がってきた選手は連勝しなければ優勝になりません)が、3位決定戦のチェ・ウォンヨンプロとの対戦も、優勝決定戦、再優勝決定戦も終始リ−ドを保つ、危なげないゲ−ム運びでした。もちろん、本人は、いろいろなプレッシャ−を感じていたでしょうし、会見でも苦しかった胸のうちを披露してくれましたが、JBCのエ−スだったとはいえ、プロ2年目にしてすでにJPBA内で図抜けた存在あることをはっきり証明する強さだったと思います。

 ただ、正直、他の男子プロは何をやっているんだ!?という気持ちにもなります。

 特に、気になるのは2005年に実技テスト免除でJBCからJPBA入りし、当時は、今の川添プロのようにト−ナメントを勝ちまくっていた山本勲プロです。そのことを山本プロに質すと「はい、よくわかっています。川添プロも私とプロ同士としての対決を望んでいるはずですし・・・」と、話してくれました。

 左投げの山本プロにとって、昨年は苦しいレ−ンコンディションが続いたことも確かなようでしたが・・・「難しいレ−ンを克服してこそ真のプロ」「プロならどんなレ−ンにも対処できる技術を持っていて然るべき」というのが私の永遠の主張ですから、とにかくト−ナメントをよりおもしろくするためにも、山本プロの捲土重来を期待せずにはいられません。そして、2人とも(他のすべてのプロボウラ−も)めざすは『世界』であってほしいです。

東京ド−ムボウリングセンタ−の外観(提供:JBC)東京ド−ムボウリングセンタ−の場内(提供:JBC)
東京ド−ムボウリングセンタ−の外観と場内(提供:JBC)

 さて、男子全日本の2週間後には、女子の全日本プロボウリング選手権(12月15日〜17日、東京ド−ムボウリングセンタ−)が開催されました。

 こちらは、トップシ−ドで待ち構えていたこの大会2年ぶりの優勝をめざす松永裕美プロが、決勝ステップラダ−で、勝ち上がってきて勢いに乗る新人の小林あゆみプロに優勝決定戦で敗れながら、再優勝決定戦では、ボ−ルを代えてレ−ンコンディションに対処し、なんと10フレ2投目までストライクを続ける圧倒的なパフォ−マンスを見せつけ、快勝しました。

 松永プロのすごさは、優勝決定戦で勝ち目なしと見るや、9フレでボ−ルを代え、再優勝決定戦に備えた冷静さでしょう。何度も苦汁を飲まされ、またそれを乗り越え、女王と呼ばれるまでになつたキャリアのなせる業と言ってもいいのかもしれません。

 優勝スコア299は、本人にとってもなんとも複雑でしょうが、これは松永プロが、さらに大きく成長するためにボウリングの神様があえて最後はストライクにさせなかったのかな?と、私は思います。

 松永プロにも、今年『世界』をめざしてさらなる飛躍に期待したいです。

 ところで、松永プロと川添プロは福岡第一高校の先輩、後輩(松永プロが4年先輩)です。ほんとうにすごいボウラ−を次々に排出する高校だなぁ、と思いながら女子全日本の翌日、全国高校対抗選手権の最終日(12月18日、川崎グランドボウル)を観戦しに行くと、偶然にも女子の決勝は、その福岡第一と東京の堀越の対戦。松永プロも後輩の応援に駆けつけていました。

川崎グランドボウルの外観(提供:JBC)川崎グランドボウルの場内(提供:JBC)
川崎グランドボウルの外観と場内(提供:JBC)

 高校対抗選手権は、ダブルスの高校ナンバ−ワン決定戦です。2人が1ゲ−ムずつを投げ、ト−タルピンで競うという方式です。

 力が拮抗していた福岡第一と堀越は、ピン差の争いのまま、完全な10フレ勝負になりました。先に投げ終わったのは堀越でしたが、敗色濃厚。後から投げる福岡第一が、10フレ最後の1投で8本以上倒せば優勝、7本でも同ピンという状況でした。

 ところが、その1投がど真ん中へ・・・なんと!!!ビッグ4が残りました。

 堀越が1ピン差で逆転優勝を飾ったのです。

 この模様は、後日、BS−TBSで放送されましたので、ご覧になった方も多いと思いますが、あえて、ここでは両校4選手の名前は記さないでおきましょう。

 松永プロは「よく頑張った、よく頑張った」と号泣する福岡第一の後輩を抱きしめながらその健闘を称えていましたが、昨日はともかく、きょうのボウリングの神様は残酷だなあと感じた瞬間でもありました。

 でも、月並みですが、この悔しさはきっと明日への糧になるはずです。まだ高校生なんですから・・・。そして、ボウラ−として、人間として大きく育っていってほしい、そんなことを考えながら家路についた私でした。

 さあ、今年は、多くのト−ナメントで、どんなドラマが展開されるのでしょう!



四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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