四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−10

 女子優勝のシェリ−・タン(シンガポ−ル)(提供:JBC)
女子優勝のシェリ−・タン(シンガポ−ル)(提供:JBC)
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●インタ−ナショナル・ボウリング・チャンピオンシップス

 ボウリング界の新しい試み、世界のプロ・アマトップボウラ−が参加して行われた
「インタ−ナショナル・ボウリング・チャンピオンシップス」
 私は、大会決勝の2月11日の夜、NHK−BS1で3時間(2時間50分)にわたって放送されたものを観戦しただけでしたが、会場である福岡市の博多スタ−レ−ンは大変な熱気でしたね。

 私もそうでしたがテレビ観戦だった方は、ボ−ルの転がる音がやけに大きいと感じませんでしたか? 実は、これ、特設レ−ンの下にマイクを設置したのだそうです。臨場感が伝わる画期的な演出だったのではないかと思います。

真の一流選手のボウリングというのは、このような舞台でこそ映えますし、また、不思議なもので、ゲ−ムの内容もふさわしいものになってくるものなのだ、と思います。

 今年は11月にラウンドワンの主催でジャパンカップが開催されることも決まり、もう1回、世界最高峰レベルのボウリングに触れることができます。大変結構なことです。

 さて、それはともかく、今までも、ことあるごとに日本選手のレベルについて苦言を呈してきましたが、今回も、また、評価できるものがほとんどなかったのは寂しい限りです。

 男女の個人戦、決勝ステップラダ−の4人に日本選手は誰も残れませんでした。

 先月のこのコラムで期待したい選手の筆頭に挙げた男子の川添奨太プロ、女子の松永裕美プロは、共に福岡が地元、これ以上ないというぐらいのホ−ムアドバンテ−ジがありながら、PBAのみならず、韓国や東南アジアトップの選手たちに、はっきり言って歯が立ちませんでした。その他の日本の男女トップボウラ−も同様です。

男子優勝のトミ−・ジョ−ンズ(USA)(提供:JBC)
男子優勝のトミ−・ジョ−ンズ(USA)(提供:JBC)

 正直なところ、私はこのような結果を予想していました。いや、私以外のボウリングメディアに携わる方々もおそらく予想通りの結果とおっしゃることでしょう。

 その予想が今度こそは裏切られ、日本選手が活躍することを夢見ていたことも事実ですが、残念ながら裏切られることはありませんでした。

 すでに20年以上もの間、PBAトップボウラ−が来日するジャパンカップで日本男子のトップボウラ−はほとんどまともな勝負ができていません。ボ−ルの威力が違う、コントロ−ルが違う、アジャスト能力が違う、とにかく……違うのです。

 インタ−ナショナル・ボウリング・チャンピオンシップスの数日後、川添プロに「どこが違うの?」と聞くと、シンプルに「実力です」という答えが返ってきました。さらにしつこく「具体的には?」と聞いても返ってくる答えは「とにかく実力が違うんです。もっと練習してがんばります」と、その隔たりの大きさを淡々と語ってくれました。

 プロ転向後、2年連続で、ポイントランク、アベレ−ジ、賞金の3冠タイトルを取り、しかも、昨年後半から公式戦5連勝中。さらに、一昨年のジャパンオ−プンでは決勝で2ゲ−ム連続パ−フェクトの離れ業を演じた国内断トツの実力を誇る男が発したこの言葉の持つ意味は重いのではないでしょうか。

女子二位のダヤン・カイルニサ(マレ−シア)(提供:JBC)
女子二位のダヤン・カイルニサ(マレ−シア)(提供:JBC)

 女子にしても、(残念ながら)このコラムで以前申し上げたようにアメリカのウエンディ・マクファ−ソン1人にト−ナメントを席捲されてしまうレベルです。世界から多くのトップボウラ−(ウエンディも含めて)が来日したこの大会で上位に誰も残れなかったのは、当然といえば当然なのかもしれません。

 日本のボウリングは、男女とも国内のトップ選手でさえ、陸上競技の長距離に例えれば、周回遅れランナ−のようなもの、つまり、川添プロは国内大会では、いつも2位以下を周回遅れにしてしまうぐらいの強さで勝っているのに、国際大会だと、周回遅れになってしまう……そんなレベルという気がします。

 野球やサッカ−を例に出すまでもなく、ほとんどすべてのスポ−ツは、世界を相手に戦って活躍して、初めて世間の注目を浴びます。

 今や国内に敵のいない川添プロは、一体どうすれば世界と戦えるボウラ−になれるのか? そろそろ業界全体で考えてもいい時期だと私は思います。(別に川添プロでなくてもいいのですが、今は彼が一番世界に近いと思いますので)

男子二位のミカ・コイブニエミ(フィンランド)(提供:JBC)
男子二位のミカ・コイブニエミ(フィンランド)(提供:JBC)

 あの博多スタ−レ−ンに集まったギャラリ−も、私のようにテレビで観戦した人も、日本選手の活躍が観たいのです。それがボウリング人気に繋がり、業界にとっても絶対にいいことなのですから、ぜひ、なんらかの形で考えていただけないものでしょうか。

 ボウリングは、ボ−ルの進化もあり、初心者を卒業したぐらいの人でもレ−ンコンディションがやさしいと200アップできてしまうことがあるスポ−ツです。反対に、プロでも難解なレ−ンコンディションに苦しみ、150前後のスコアになってしまったりもします。

 でも、真のプロは……強いトップボウラ−は、どんなに難しいレ−ンコンディションでも読み切ってしっかりとアジャストし、とてつもなく破壊力のあるボ−ルでストライクを積み上げる……そういうものだと思います。

 インタ−ナショナル・ボウリング・チャンピオンシップスの男子個人戦、優勝したトミ−・ジョ−ンズの決勝戦でのスコア290は、まさにそれでした。しかも、平然とやってのけたからスゴイのです。

 日本選手にもそんな芸当のできる日が来るのを私は待っています。


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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