公認競技場を創る−3

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●「100万人ボウラ−キャンペ−ン」を全国で展開しましょう (株)ジャビコ 代表取締役 染谷 景一郎 氏 53歳

@ 今、ボウリング業界が置かれている現社会情勢の中の現状

 前号までに現在ボウリング場が置かれている社会情勢の中での位置付けやこれから経営を安定させるための健康スポ−ツとしての可能性や方針を具体例を交えてお話してきましたが、今回は少し切り口を変えるというか、もっと客観的に現在のボウリング業界の実態をふくめ、勝手を承知で私見を述べさせていきたいと存じます。

 先ずは、ボウリング業界の現状ですがレジャ−白書の数字では2010年におけるボウリング体験者は17,800千人でこれは前年に比べて4,300千人減と大幅な落ち込みを見せています。この約20%と云う落ち幅は業界としては危機的な状況であることは間違いありません。

 昭和40年代後半のオイルショックを皮切りに崩壊の危機に瀕したこの業界ですが、その当時ボウリング場の数は3,600ヵ所以上に及び飽和状況(見方によっては超過剰状態)のころに高度成長経済停滞の煽りをまともに受けたもので、現在923ヵ所(2012.2.1現在、社団法人日本ボウリング協会調べ)の現業界が底なしの右肩下がりを続けているのとは状況がまるで違います。ある意味昭和危機と比べても現在の方がより深刻なのは間違いありません。

 昭和の崩壊危機の時は分母(ボウリング場数)を減らすことによってレ−ン当りの商圏人口を確保し厳しいながらも同業種内でのサバイバルを生き抜くことができた。しかし現在の危機はボウリングそのものが社会から否定されようとしています。その証拠には地方においてひとつの地域商圏にボウリング場がゼロという事態が各所で見られるようになってきています。

そう、昭和の危機にはなかったもう一つの大きな敵を現在のボウリング場は抱えています。施設の老朽化です。建築から40年以上経過しスクラップして再開発するにしても、耐震強化や大規模なリニュ−アルを行なうにしても採算性の悪いボウリングを引き続き運営するメリットがどこに存在するのか。明確なボウリング事業の再生モデルが見い出せない限り経営者たるもの他の事業に転換するのは当然と云うか必然でしょう。

インタ−ナショナル・チャンピオンシップス場内(提供:JBC)
インタ−ナショナル・チャンピオンシップス場内(提供:JBC)

A 現状の経済情勢の中でのボウリング再生の可能性

 それではどのようにして、この困難な時代を生き抜いていくのか。そこで、このコラムの初回で述べさせて頂いた今の時代に事業として成り立っているボウリング場のモデルを思い出して下さい。二つのビジネスモデルがありました。ひとつはトコトン、アメニティを追求したレジャ−特化型、もう一つはLTBからのリ−グ開発を中心にしたクラブ志向型、とありました。

 レジャ−特化型の典型はR社が展開する複合型レジャ−施設です。今や事業所数は全ボウリング場の10%超となりマ−ケットシェアはボウリング場の売り上げベ−スで30%を超えています。その特徴はハ−ドウエアでは新しく、メディアスクリ−ンに代表されるように新鮮で旧態然とした今までのボウリング場とは異空間を感じさせる環境を提供しています。それでいながら、すべてのボウリング施設は競技施設として完全にその機能を備え、公認競技場として各種競技会に会場提供をし、プロボウリングの公認大会の開催まで行なっています。

 ソフトウエアではトレンディなコンテンツを常に引き入れイノベ−タ−達の情報発信基地としての機能も備えています。ヒュ−マンウエアでは高いホスピタリティレベルを維持しながらエンタ−テイメントに長けています。まさにボウリングイノベ−ションを達成、業界のイメ−ジアップに貢献し全体を力強く牽引しています。R社の100店舗を超える事業展開が現在のボウリング市場を支えていると言っても過言ではありません。しかし東証一部上場企業であり、投資ファンドを活用できる等資金力があってこそのビジネスモデルであり、既存のボウリング場が簡単に追随できるモデルではありません。

インタ−ナショナル・チャンピオンシップス(提供:JBC)
インタ−ナショナル・チャンピオンシップス(提供:JBC)

 そしてもう一つの事業モデルがクラブ志向型。今までボウリング場としてはアイドルタイムだった平日昼間帯に高齢者や女性をタ−ゲットにボウリング教室や招待ボウリングを中心に顧客開発事業を展開しボウラ−を育成、新しくマ−ケットを創造すること。しかしながらこのモデルには少々問題があります。先ずはその経済効果があまりにも漢方薬的と言うか即効性が乏しく中長期的な視野の下に考えなくてはならないこと。次ぎによく開発・育成・固定等と形容されますが、その開発(参加者集め)が非常に困難を要する事と開発費用も無視をできない額が先行すること。しかも育成したボウラ−が独り歩きをできるまでホスピタリティ溢れるリ−ドが必要です。つまりインストラクタ−やリ−グセクレタリ−の人件費もかかります。なんだか大変な事ばかりのようですが、ひとたびリ−グボウラ−を育成できると一人当り平均100千円/年の消費が見込め、100人育成できれば年間およそ10,000千円の経済効果が見込めます。これは無視できない数字です。

 今現在日本中にこのリ−グボウラ−を中心にボウリングそのものを目的にボウリング場に来場するボウラ−はたったの80,000人(2009年JPBA調査)です。2010年の体験者数が17,800千人でしたから、約4.5%にしか過ぎないのです。95%を構成するオ−プン来場のお客様をタ−ゲットにするのではなく、5%に満たない構成しかない顧客層をタ−ゲットにすることは正常な経済活動とは言い難いのです。しかもこれから、未体験の方に一からボウリングを教えてまで・・・だからこそなのです。この顧客カテゴリ−を作り上げることがレジャ−特化型では行なえないもう一つのイノベ−ションです。

 現在923ヵ所のボウリング場において1年間で約100名のリ−グボウラ−を育成し、10年間で2割程度のドロップを考えても700千人、約70,000百万円の市場を形成します。ここに一つの健康スポ−ツ産業が誕生します。しかも、国体、アジア大会まで正式種目となっており大変奥の深い国民的スポ−ツが誕生する訳です。今、アイドルタイムを抱えるボウリング場と現在800名を超えるJPBA公認インストラクタ−を活用し10年間で「100万人ボウラ−キャンペ−ン」を全国で展開しましょう。

(つづく)

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