四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−16

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●スペシャルオリンピックスと高校選手権

 ロンドンオリンピックが終了して早くも半月以上が経過し、8月29日からは身体障害者のスポーツの祭典、パラリンピックが同じくロンドンで開催されています。いろいろな身体の障害を持つ方々がその障害に屈することなく強い心と信念で持てる力を発揮する姿はすばらしいと思います。
 私など、頭が悪いのを筆頭に、障害だらけの人間ですが、とりあえず、身体的な障害はないに等しく、その点で恵まれていることに改めて気付かされる大会でもあります。

 ところで、障害者のスポーツの祭典にはもう一つ、スペシャルオリンピックスという知的発達障害者のスポーツ大会があることを皆さんはご存じですか?
 このスペシャルオリンピックス、第1回の国際大会(世界大会)は1968年、アメリカのシカゴで開催されていて、決して新しい組織ではありませんのでご存じの方も多いかと思います。最初の頃は不定期でしたが、現在は4年に1回、夏季と冬季に世界大会が開催されています。夏季大会の次回は2015年アメリカのロサンゼルス、冬季は、来年韓国の平昌郡(ピョンチャングン)です。

 スペシャルオリンピックスの理念は、知的発達障害がある人の自立、社会参加ですから、基本的に勝利至上主義ではなく、各々のアスリートが自己の最善を尽くすことを目的としていて、ディビジョニングという方式、つまり、競技力が同程度の少人数(基本的に8人)に組み分け、それぞれに優勝を争うという方式をとっています。だから参加者全員が入賞できます。

 このような、スポーツの原点ともいうべき「参加することに意義があり、なおかつ達成感が味わえる」スペシャルオリンピックスではボウリングはすでに夏季大会19の正式競技の一つです。ボウリングが健常者のみならず知的発達障害者にとっても身近ですばらしいスポーツであるという見方もできるかもしれません。

 ちなみに「スペシャルオリンピックス日本」はオリンピック女子マラソン2大会連続のメダリスト有森裕子さんを会長に公益財団法人として活動しています。また、スペシャルオリンピックスは、都道府県単位でも活動していますから、皆さんの地元にも活動している人が必ずいます。かくいう私も「スペシャルオリンピックス日本・東京」が毎年8月に開催しているボウリング競技者を対象にした納涼親睦会の進行役を務めさせていただいていて(今年は都合により進行役は他の方にしていただきました)非常に身近な組織と感じています。

全日本高校選手権選手宣誓(提供:JBC)
全日本高校選手権選手宣誓(提供:JBC)

 さて、今年も品川プリンスホテルボウリングセンターで開催されたボウリングのJOCジュニアオリンピックカップ第36回全日本高校ボウリング選手権大会に、ある都道府県から特別支援学校(旧養護学校)高等部3年の男子選手が1人出場していました。
 主催であるJBC(全日本ボウリング協会)の関係者に問い合わせても、過去に特別支援学校の生徒が出場していた例があるかどうかはわからないとのことでしたが、非常に稀な例であることは確かなようでした。

 彼が出場していた地区の監督さんによると「彼はダウン症ですが、地域の大会にも出場したことがありますし、こちらにきても自分で身の回りのことは一通りなんでもできますから、特に何の問題もありません。もちろん親御さんも、本人が出たがっているならぜひ、ということで連れてきました。ええ、保護者の方など付いてきてはいません。我々の地区では、高校選手権に出たいということであれば出場は拒まないことにしていますので。本人にとってもいい記念になったでしょう」ということでした。

(提供:JBC)
(提供:JBC)

 この監督さんはとても暖かな雰囲気をお持ちの方で、このような指導者の下でボウリングができる高校生は、彼以外の生徒も含め幸せだなと感じました。また、この方は監督としてかなりのキャリアをお持ちですが「今まで特別支援学校の生徒を連れてきたことはありません」とも話されていました。
 彼がスペシャルオリンピックスに出場していたのかどうかは聞きそびれましたが、喜怒哀楽を出しながら真剣にレーンに向かう姿には胸を打たれました。

(提供:JBC)
(提供:JBC)

 史上初の特別支援学校からの出場だったかもしれない彼の今年の高校選手権の成績が(残念ながら優勝を争うようなレベルではありませんでした)最下位でなかったということだけは皆さんにお伝えしておきます。
 彼の特別支援学校卒業後の人生に、熱いエールを送りたいと思います。
 (監督の承諾は得られていますが、彼や彼のご家族には無断での掲載ですので、地区名、監督名、選手名は伏せさせていただきました)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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