四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−18

 (提供:ベースボール・マガジン社)
 (提供:JPBA)
第18回
第17回
第16回
第15回
第14回

第13回
第12回
第11回
第10回
第9回
第8回
第7回
第6回
第5回
第4回
第3回
第2回
第1回

●平成生まれのニューヒロイン小林あゆみプロ

 今年の初め、ひょんなことから多くの聴衆の前で、小林あゆみプロに突然インタビューする機会がありました。(正しくは私が勝手に設けたのですが)もちろん、本人にもその場で、急に言ったのですが、一瞬、きょとんとしながらも、私の質問に冷静に、澱みなく応えてくれました。
 「小林あゆみは、強心臓だ。全然動じない」などという評価をすでに聞いてはいましたが、妙に納得したものでした。
 身長159cmながらアプローチに立つと大きく見え、そのボールは破壊力抜群。
 7月の六甲クイーンズで初優勝を飾ると、勢いに乗って8月の新人戦も制覇、期待のレフティは一気に開花しました。
 大人の女を感じさせる雰囲気と華やかな笑顔、それでいて話し始めると、少女のようなあどけなさものぞかせる魅力満載の22歳です。
 「初めて国体に出た高校1年のとき、成績が振るわず、決勝の盛り上がりを見学していて、あんな雰囲気の中でボウリングができたら楽しいだろうなあと思っていました。実際、2年、3年と、妹のよしみと国体は少年女子団体で2位になるのですが、立ちたい場所に立てたということで、地に足がつかないというような緊張感はなかったですね。六甲のときも新人戦のときも、もちろん優勝はうれしかったのですが、私、小さい頃から、悔しくて泣くことはあっても嬉し涙って流したことがないんです。人一倍、負けず嫌いなんですね。それに、これで満足しちゃいけない。もっと上があるんだからと常に自分にい聞かせていますし…」

(提供:日本プロボウリング協会)
(提供:JPBA)

 “将来はプロ”
 と心に決めていただけに、高校卒業後、2010年には渋る妹のよしみさんを「姉妹プロのほうが話題になるから」と半ば強引に誘ってプロテストへ。ところが1次はトップながら、2次ではズルズルと後退、妹のよしみさんは合格したのに、なんと不合格!
 「よしみは、私だけプロになってどうするの?だっただろうと思うんです。今思えば、1次でトップだったとき、周囲も私も合格間違いなしという雰囲気になって、実は、ちょっと調子が落ち気味だったのに、そのまま、2次に臨んでしまったようなところがあって…、あの失敗が『これで満足しちゃいけない』と言い聞かせる今の自分に繋がっているところはあると思います。でも、あのときは落ち込みましたねえ」
 2011年、妹のよしみプロを追って再度チャレンジ、今度は合格圏内を維持し、見事4位でJPBAのワッペンを手にいれました。「初めは前年のこともあるし、トップ合格を狙っていました。でもスコアがそこまでは伸びない。それなら2位も最下位もいっしょだからとにかく絶対合格だけはと気持ちを切り替えました。それがよかっただろうと思います」
 このような気持ちの切り替えの早さもプロの世界で生きていくためには大事な要素でしょう。
 「プロになって、初めのうちは予選落ちが続いたので、とにかく予選を突破したい!だけでした。自信がついたのはラウンドワンカップで4位になってからですね」
 そうして全日本選手権には準優勝、それも優勝した松永裕美プロを再優勝決定戦まで追い詰める大健闘で、2011年デビューの44期生では唯一、第1シード入り。
 ニューヒロイン誕生の予感はありました。
 改めて、なぜ、そんなに冷静でいられるのかを聞きますと
「例えば、接戦になってきたとき、“ああ、この状況は、きっと観ている人は面白いだろうな”なんて思う自分がいます。応援してくださるファンの方もいらっしゃいますし。その状況を自ら楽しんでると言うわけではないんですけど、それが適度な緊張感になっていい感じで投げられます」
と、当意即妙な答え。
 そして「この1年で環境は激変しましたね。出る杭は打たれるなんていいますけど『出過ぎちまえば打たれないよ』と以前、中山範彦プロ(JPBA28期)に言われたことがあるので、そうなれればいいななんて思います」と、聞きようによっては生意気ともとれるようなことを澄んだ瞳で話してくれます。

(提供:日本プロボウリング協会)
(提供:JPBA)

 ボウリングが大ブームだった1970年代前半、今もお元気な石井利枝プロ(JPBA1期)、野村美枝子プロ(JPBA2期)といった超がつく魅力的なレフティの女子プロボウラーがいました。
 そんな存在、いや、彼女たちを超えるような存在になってほしいなあと私のようなおじさんは思ってしまいます。
 「例えばボウリングがオリンピック正式競技になって、そこで金メダルが取れたらその時も冷静でいられるかな?」
という最後の質問には
 「う〜ん、もしそうなったら…違うかもしれませんね」
という答えが返ってきましたが、後で、ふと思いました。
光沢のいいツヤツヤの肌を幾分紅潮させながらも、やはりきっとあの愛すべき笑顔を浮かべて、冷静に喜びを語るのではないかと…。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

前の「記事」へ戻る 「全公協たより86」へ 次の「記事」へ進む

 全国ボウリング公認競技場協議会「トップページ」へ 「全公協たより・目次」へ