四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−22

 男女のチャンピオン(提供:JBC)
男女のチャンピオン(提供:JBC)
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●トミー・ジョーンズは一流選手の証

 今年から世界5大メジャー大会の一つに数えられるようになった第2回インターナショナルボウリングチャンピオンシップスは大変な盛り上がりでした。
 愛知県の稲沢グランドボウルで開催された今回、決勝で取り入れられたのはエリミネーター方式です。
 予選9ゲーム、その上位24人による準決勝6ゲーム、トータル15ゲームの上位5人で優勝を争うというというところまでは多くの大会と大差ありませんが、その先のエリミネーター方式は、トータルピンは一切関係なく上位5人が改めてスタートラインに立ってマッチゲームで競います。
 ROUND1で、まず5人中、下位2人が脱落、
 ROUND2(3位決定戦)で、3人中1人が脱落、
 そして、FINAL(優勝決定戦)という3段階で優勝者を決めます。
 ステップラダーと違い、点数の低い選手を振り落としていく方式です。

 さらに、今大会の特徴は、開催国日本の最上位者は、男女とも、それが5位以内でなくても必ず1人はエリミネーター方式の優勝争い5人の中に入れるというものでした。
 この大会の運営方式が記者発表されたのは昨年の9月14日でした。
 主催者側は、このような開催国を特別待遇する方式は今までのWTBA(世界テンピンボウリング連盟)の大会にもあり、今回だけが特別ではないと説明していました。
 発表記者会見が終わった後、主催者側の1人に少々いじわるな質問をしました。
 「もし、準決勝にも1人も日本人選手が残らなかったらどうするのですか?」
 彼は、一瞬言葉に詰まりながら「…外国人選手が男女とも24人以上参加するわけですから、数字の上では起こりうることですね。でも、さすがにそんなことはないでしょう。でも…ほんとうにそうなったら?う〜ん…」
 という答えが返ってきました。つまり想定外ということでした。
 9ゲームが終わった段階で25位以下の日本のトップ選手を24人の中に入れて24位の選手を予選落ちにする?
 予選落ちと準決勝進出では賞金があるのか、あるいはゼロなのかという大きな違いがありますからそれはちょっと失礼です。
 では、予選の9ゲームしか行っていないのに15ゲームの激戦を戦い抜いて5位に入った選手をはずして日本人選手最上位者をエリミネーター方式の5人に入れる?
 5位の賞金は60万円です。本来賞金ゼロの選手が最低でも60万円がこの方式により確保できることになります。これはもっと失礼でしょう。

 ほんとうにそうなっていたらどうしたのか?気になるところではありましたが、杞憂に終わったのは何よりでした。
 いくらなんでもそこまで日本人選手が弱くはなかったということです。
 それでも女子の最上位だった西村美紀プロ(JPBA38期)はトータル14位、世界とは大きな差がある…残念です。
 ただ、だからといって、
 「たいした成績でもないのに開催国枠で決勝に残って、それでも恥ずかしくないのか!?」
 などと西村プロに心無い声を浴びせるようなことだけはしないでいただきたいです。西村プロに罪はありません。大会規定に従って全力を尽くした。ただ、それだけのことです。
 結果はROUND1で5位となって敗退。さぞや無念だったことでしょう。

 西村プロは、昨年、ポイントランキングで初の3位に躍進、今年さらなる活躍が期待されます。この悔しさをバネに、大いに飛躍してもらいたいと思います。

女子優勝 シェイナ・ング(提供:JBC)
女子優勝 シェイナ・ング(提供:JBC)

 それにしても女子優勝、シンガポールのシェイナ・ウン、強かったですね。
 優勝決定戦、第1フレームでいきなり10ピンのイージーミス、さらに第2フレームでは3,6,7,10ピンが残るスプリットと心が折れそうな展開になりながら、これをきれいにカバーすると、第3フレームからフィフス(ストライク5連発)を持ってきてアメリカのケリー・クリックを逆転。そのままの勢いでスコアを248まで伸ばし、最後はクリックを完全に圧倒しました。
 昨年11月、ワールドカップを制したばかりの23歳は、底知れぬ凄みを見せつけた印象です。
 日本の23歳、ガンバレ!!

 一方男子は、あたりまえといえばあたりまえですが、トータル4位で堂々エリミネーター方式の5人に残った日本人選手が1人いました。JPBA37期生、48歳のレフティ鈴木博喜プロです。彼はプロ16年目ながらほとんど無名、それもそのはずで、2012年、初めてシード入りの苦労人でした。
 私がいつもこのコラムで期待し続けてきたJPBA49期生の川添奨太プロは予選突破に3ピン足らず、26位で予選落ち。彼は2010年のプロ入り1年目から昨年まで3年連続でポイントランク、賞金、アベレージの3冠に輝いているだけに、この成績には残念を通り越して、どうしちゃったの?という感じです。今年の夏は本格的にアメリカのツアーに参戦、という話も聞きます。
 私は何度でも言います。川添プロ本人が一番わかっていると思いますが、とにかく相手は“世界”なのです。

男子優勝 トミー・ジョーンズ(提供:JBC)
男子優勝 トミー・ジョーンズ(提供:JBC)

 男子の結果については、アメリカPBAのトミー・ジョーンズ、毎度のことながらその強さ、恐れ入ったという感じです。
 善戦ではなく勝て!を鈴木プロに要求するのはさすがに無理があります。鈴木プロのエリミネーター方式ROUND1敗退、4位という成績には素直に拍手を送りたいです。
 ただし、そこに残れなかった実績のある日本人選手には
 「地元なんだから何とかしてくれ!!」
 と再度申し上げておきます…というのも、強かった大会2連覇のジョーンズですが、昨年暮れのジャパンカップではなんと159位で予選落ちという屈辱を味わっているからです。
 江戸(ジャパンカップ)のカタキを尾張(インターナショナルチャンピオンシップス)で討った、という訳でもないでしょうが、失敗を糧とし、成功に結び付けるのは勝負の世界に生きる一流選手の証です。
 ジョーンズは、それを実践しました。だから日本人にもそうなってもらいたいのです。
 「彼我の差を感じた」とか「勉強になった」は聞き飽きました。
 来年は、必ずや日本人選手が優勝するものと信じます。

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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