四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−23

 
霜出佳奈選手
全日本ユースナショナルチームメンバー
(提供:JBC)
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●千葉県3人娘の霜出佳奈選手

 4月、毎年この季節には多くの「新人」が生まれます。

 新入園、新入学、新社会人。

 世代ごとに新しい環境に入っていく新人の多くは希望に燃え、しかし壁にぶつかり、悩み、挫折し…など順風満帆とはなかなかいかないものですが、サクラの季節は新人が輝く季節、ということで、ジュニアのユースナショナルメンバーとして活躍、この春、高校を卒業した霜出佳奈選手に話を聞きました。

 私が千葉県人ということもありますが、彼女がJBC(全日本ボウリング協会)に入った小学校5年頃からの千葉県女子のジュニアのレベルは非常に高いことに注目していました。彼女の2つ上の向谷美咲選手(当時市川市立南行徳中)はすでにこの年(2005年)中学1年生にして全国中学選手権に準優勝、翌2年では優勝を果たしています。さらにその翌年、霜出選手が中学1年(当時柏私立富勢中)、向谷選手が3年のときにはこのコラムで1年半ほど前に書かせていただいた2年生(当時船橋市立旭中)の箕輪加奈選手が向谷選手の連覇を阻んで優勝(向谷選手は準優勝)。翌年、箕輪選手は連覇ができませんでしたが、今度はもう一人のカナちゃん、霜出選手が3位、そして霜出選手が最上級生になった翌年の2009年は見事中学日本一になっています。

 つまり向谷選手が中学1年から霜出選手が中学3年になる5年間の中学選手権での千葉県女子の成績は、優勝3人、準優勝2人、3位1人。

 2010年には千葉国体が行われたわけですが、そのための強化、というようなレベルとは異次元の、恐ろしく強い3人がこの時期、偶然、千葉県に生まれ育ったのはなんとも不思議なめぐり合わせといえましょう。

 私は勝手にこの3人を千葉県3人娘と呼んでいるのですが(箕輪選手は、東京都の高校に進学したので所属は東京に移りましたが、今も住んでいるのは千葉県)、3人はその後も順調に成長を続け、向谷選手はナショナルメンバー…というより今や日本のエース(向谷選手にもいずれこのコラムに登場してもらうつもりです)。箕輪、霜出選手もユースナショナルメンバーとして活躍を続けてきました。今後もそれは続くでしょう。

2011山口国体 少年女子個人戦 優勝
2011山口国体 少年女子個人戦 優勝(提供:JBC)

 さて、霜出選手、前述の高校1年時の千葉国体にはもちろん代表に選ばれ、少年女子団体で向谷選手とともに堂々優勝、個人でも3位に入りました(個人の優勝は向谷選手)。そして2年時は、山口国体少年女子個人で見事優勝を飾っています。

 「エッ!?千葉県3人娘の末っ子なんて呼んでもらえるんですか。光栄です!」

 などと若干はにかみながら笑顔で私のインタビューに応じてくれたカナちゃんは、この山口国体にはとても強い思い入れがあったようです。

 「千葉国体は、先輩の向谷さんがほんとに1人で全部背負っている感じでしたから、もちろん優勝したい気持ちもありましたけど、団体は優勝できたので、個人は3位でも…というような感じでもありました。でも、山口国体のときは、高校2年でしたが、向谷さんも、もう少年女子にはいないし、周囲の期待も大きいし、絶対優勝しなければ!!というような気持ちでしたからほんとうに達成感がありました。ただ、その達成感が大きすぎたのか、高3の1年間は、結局、大きな大会では優勝できなくて…」

 と高校最終学年での1年間には少しばかり悔いが残っている様子でした。

 3人娘は、当然のことながら、まるでタイプが違います。末っ子の霜出佳奈ちゃんは、物静かな印象ながら話せばとても明るく謙虚な女の子。年齢の近いすごい先輩が近くにいることで自然とそうなっているのかもしれませんが、それが災いしてかどうもマイナスのイメージ、悪いときのイメージを引きずってしまうところがあるようです。

世界ユース選手権大会2012 左から霜出・向谷・竹川・安里の各選手
世界ユース選手権大会2012 左から霜出・向谷・竹川・安里の各選手(提供:JBC)

 昨年は世界ユースのメンバーに選ばれましたが、女子マスターズ戦で23位、

 その後の高校選手権では最後に猛烈な追い上げを見せたものの、準優勝。2年時は、予選では好調で第2ラウンド終了時までトップを走っていながらその後伸びず最終的には3位という結果だっただけにこれも大変残念な結果でした。

 世界ユースで受けたショックも影響したといいます。

 「私、精神的に弱くて、昨年の年越しから新年、しばらくは毎日、ボウリングが夢に出てきて…、でも、最近になってやっと、いいときのイメージを大切にする感覚がつかめるようになってきました」

 そんな中、迎えた高校生活最後の大会、3月の全日本選手権では過去最高のマスターズ戦9位と健闘しました。

 「結局、1年間優勝できませんでしたが、なんだか少し成長できたかなと感じる大会でした。ローゲームを叩いてもそれを引きずらないようになったし、気持ちの切り替えがより早くできるようになった気がします」と、以前からしたかったというコンタクトレンズを使用したメガネのない『新しい笑顔』で話してくれました。

 専門学校で英語とコンピューターを勉強しながらボウリングを続けるカナちゃん、これからの活躍に期待です。

 総務省統計局の資料によれば、この春高校を卒業する日本の人口はおよそ120万人。

 カナちゃんだけでなく、18歳の春を迎えた皆さん、そして多くの「新人」の皆さんに幸多からんことを!

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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