四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−26

 優勝の益田隆司プロ(提供:ベースボールマガジン社)
優勝の益田隆司プロ(提供:JPBA)
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●魅せる酒井―半井対決

 今年も年齢が満50歳以上に参加資格があるシニアの日本一を決める第4回HANDA CUP・プロボウリングマスターズが東京の田町ハイレーンで開催されました。
 前身の日本シニアチャンピオンの頃からこの大会に滅法強い益田隆司プロ(JPBA27期)が、この大会としては2連覇、日本シニアチャンピオンから通算すると4度目の優勝を遂げて幕を閉じました。

 この大会を取材していていつも感じることは往年のトップボウラーのカッコよさです。
 今年もプロアマ合計200人の出場選手の中から12人で争われる決勝ラウンドロビンには10勝以上、それもいずれも還暦を過ぎているプロが4人残りました。
 酒井武雄プロ(9期・34勝)
 半井清プロ(10期・13勝)
 山崎行夫プロ(11期・13勝)
 貞松保行プロ(11期・14勝)

半井 清プロ(提供:ベースボールマガジン社)
半井 清プロ(提供:JPBA)

 ビッグネーム酒井プロはもちろんのこと、他3人もいずれも全日本選手権優勝経験のある真のプロフェッショナルです。
 この中で半井プロだけが何年も前からレギュラーツアーにはほとんど出場していませんので、このような大きな舞台の決勝ラウンドロビンでその姿を見るのはほんとうに久しぶりでした。
 軽〜い感じのアプローチからボールをスッと右に放り投げるようにして、それでもそのボールは急激に曲がって破壊力抜群!それは、今のように「誰でも曲げられるボール」ではない時代…、まるで魔術師のようなボウリングと映ったものです。
 その半井プロ、残念ながらラウンドロビンでは精彩を欠くゲームが続いたのですが、第7ゲーム、突然、生気に満ちたボールがよみがえりました。 
 対戦相手は酒井プロ。全身を使ったダイナミックなクランカー投法である酒井プロの投球フォームは豪快そのもので、今も迫力満点、軽〜く投げて右へヒョイ、そしてドカーン!こちらも40年前と何ら変わらない半井プロとは好対照です。
 共にストライクスタートで始まったゲーム、2フレで半井プロが7本2本のオープンフレームを作りましたが、その後は快調なペース、酒井プロに食い下がります。そして、5フレからはストライクラッシュ!酒井プロもダブル、スペア、ダブル、スペアのあと7フレからはターキー、壮絶な戦いで、完全な10フレ勝負です。半井プロは1投目ストライクで6連発!酒井プロは9本、半井プロここでもう一つくれば逆転ですが、10ピンが残りました。酒井プロはスペアをマークして最後はストライク。半井プロも10ピンを慎重にカバー。
 なんと!終わってみれば237―237の引き分けでした。
 決して多くはないギャラリーですが、この二人が戦ったのがたまたま一番左のボックスだったこともあり、その一角だけは違った空気が漂っているようでした。
 久々の真剣勝負だったであろう酒井―半井対決は、このコラムの連載を始めさせていただいた頃、書かせていただいた
「観戦していて得をした気分」
に浸らせてくれました。

酒井武雄プロ(提供:ベースボールマガジン社)
酒井武雄プロ(提供:JPBA)

 絶対とは言えませんが、それまでとは違ったボールが突如復活したこのゲームの半井プロ、かつて何度もしのぎを削る戦いをしてきた酒井プロが相手となったことで、ベストに近いパフォーマンスが呼び起こされたのではないでしょうか?
 特にボディアクションに何があるというわけでもない酒井プロと半井プロ、しかし、そのかもしだされる雰囲気、存在感、貫禄、今風で言うところのオーラが漂う独特の光が放たれた20分足らずの両者の対決だったように思います。
 これで燃え尽きたのか、半井プロは結局12位、酒井プロももう一歩というところまで行きながら5位で、決勝ステップラダーには残れませんでした。

 誤解のないように申し上げておきますが、前述した山崎プロ、貞松プロを含む、他10人のラウンドロビンに残ったボウラーの皆さんはもちろん、すばらしいです。しかし、この酒井―半井対決には、他の対決とは一味もふた味も違った個性と技術とプライドの激突
が(私の主観も入ってはいますが)感じられたということです。

 私は男子プロには厳しいコメントを書き続けてきました。それは、取りも直さず世界と互角に戦うプロが出てきてほしいとの願いをこめてのものに他なりません。
 しかし、プロとはやはり“魅せる”ものでもあることを酒井プロ、半井プロは改めて感じさせてくれました。

 すでに梅雨入りしていましたが、この日はそれも中休み。さわやかな風を感じながら田町ハイレーンを後にした私でした。

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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