四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−27

 大山由里香プロ(提供:JPBA)
大山由里香プロ(提供:JPBA)
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●大山由里香プロの滲み出てくるようなカッコよさ

「どうしたら大事なところで、ストライクが出せるのか教えてください!」
JFEカップ 2013千葉女子オープンの表彰式終了後のパーティ会場で、姫路麗プロ(JPBA33期)と松永裕美プロ(JPBA37期)が優勝した大山由里香プロ(JPBA朝29期)に声を合わせて聞いていました。
 姫路プロ、松永プロといったら、今まで、大事なところで、たくさんストライクを出して数々の優勝を飾ってきた、現在、女王と呼ぶにふさわしい実力者、しかし、その二人に、心からそう言わしめるほど、この大会での大山プロは大事なところでは必ずストライクを出していました。
 姫路プロとの決勝ステップラダー3位決定戦も、松永プロとの優勝決定戦も大山プロは10フレ最後の1投で完璧なストライクを出し、1ピン差で勝利を飾ったのです。

 このコラムで2度目の登場となる大山プロ、前回は、昨年の東海女子オープンで10年ぶりの優勝を飾った直後でした。彼女のその時の言動から私は「間違っても次の優勝が10年後ということはないでしょう」と結んでいるのですが、その予想に狂いはありませんでした。
 1999年に全日本選手権を制しているようにもともと実力があるのは誰もが認めるところでしたが、その独特の投球フォームによってどこかに無理が生じたのか、故障がちになり、そうなると投球フォームも崩れ、傍目にも、個性あふれる、というより、ガタガタの変なフォームのように映っていた時期が、かなり長くありました。成績不振は深刻でシード落ち、そして、前回のコラムでも書かせていただいたように所属センターの突然の閉鎖による訴訟問題…。これでは実力があっても勝てるどころかトーナメントの上位にも行ける道理がありません。

大山由里香プロ(提供:JPBA)
大山由里香プロ(提供:JPBA)

 そこから蘇っての現在の安定感、すばらしいです。先日、とあるセンターでのチャレンジマッチに来場していた大山プロを見たそこの従業員が「何か、今の大山プロにはオーラが感じられますね」と話していたのを思い出しますが、まさにそんな感じで、ほんとうにカッコいいプロ!という印象です。
「ストライクは、もちろん出ればいいですが、狙って出せるようなものではないと思っています。だって失投したってストライクになったりするんですから。だから、ストライクを狙いにいくというより、やれることだけやろう、というような気持ちで投げているんです。結果はしょうがないと。それで、ここ!というところでうまく投げられたらいいな、という感じですね。えっ!?若い頃?もうぜ〜んぜん、私、すぐに視野が狭くなって、ストライクを出したい出したいという気持ちばかりが先走って…ダメでしたねえ」
確かに熱くなって、ストライクが出ず、また熱くなって…と、顔面が紅潮している大山プロを何度もトーナメントで見た記憶があります。
 今の大山プロにはその頃とは別人の輝きがあると言っても過言ではないでしょう。

 今年の千葉女子オープンで3位になった姫路プロ、実は決勝ラウンドロビンでは2ゲーム目に289を出すなどトップを快走していましたが、そこから失速、難しいレーンコンディションに悩まされ、なんとか3位で決勝ステップラダーに残っていました。(この大会の決勝ステップラダー進出は3位まで)そこで、どうしてもレーンがつかみきれない姫路プロは、それまでほとんど使っていなかった最も変化の少ないボールを選択し、大山プロを追い詰めたのですが、10フレ2投目でイメージと違うところにボールがいき、3、10ピンが残り、大山プロに逆転を許すきっかけを作りました。

大山由里香プロ(提供:JPBA)
大山由里香プロ(提供:JPBA)

 準優勝の松永プロは左と右のレーンでボールを使い分け、5フレまでストライクを連発、(2つのうち1つは、姫路プロ同様、今までほとんど使っていなかったボールです)しかし、このようなレーンへの対処は、無理とまでは言えませんが、かなり難しい要素を含んでいるのも確かで、大事な9フレでそこが露呈した形といえばいいのかスプリットになり、これまた大山プロの劇的な優勝へのお膳立てをしてしまった恰好になりました。
 大山プロもボールには悩んだといいます。しかし、大山プロ本人は言いませんが、あくまで最後は集中力と使っているボールでのレーンへの対処が勝因だったように私は思うのです。
 いつもこのコラムで偉そうに私が申し上げている
「プロならボール選択を勝因、敗因にしてほしくない、レーンには技術で対処してほしい」
を見事に実践して優勝したのが大山プロだったということなのではないでしょうか。
 しかし、それも大山プロの滲み出てくるようなキャリアがなせるものだったような気がします。

 冒頭の姫路、松永両プロの質問に大山プロは明確な答えはしていなかったようでしたが、きっと、それは“練習”と“人生を含めたいろいろな経験”なのだろうと私は思っています。

 そして、大山プロが本人も知らず知らずのうちに身につけたであろう滲み出てくるようなカッコよさを大山プロに質問をぶつけていた姫路、松永両プロのみならず、多くの女子プロボウラーの皆さんにも身につける日がくることを私は楽しみに待ちたいと思います。

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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