四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−28

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●女子プロ界を盛り上げてきた酒井美佳プロ

 11年前、父酒井武雄プロ(JPBA9期)と組んでミックスダブルスを制した酒井美佳プロ(JPBA25期)が、今度はパートナーをパク・キョンシン(KPBA9期)プロに替えて2度目の優勝を果たしました。
 父武雄プロのカッコよさを見て、どうしてもプロボウラーになりたいと父に直訴し、猛練習で高校生美佳ちゃんがプロになったのは今から21年も前のこと。偉大な父のDNAを持つ17歳になったばかりの現役女子高生プロボウラー誕生(当時、史上最年少)は低空飛行を続けるボウリング界の明るい話題でした。美佳プロと同期のある女子プロは「美佳ちゃんの人気は私たちにとってもほんとうに大きかった」
と懐かしそうに話していたのを思い出します。
 私が感じる彼女のすばらしいところは、ボウリングへの大きな愛と情熱、そしてJPBA25期では唯一、公式戦に2勝していることでも証明されるその実力です。今回のミックスダブルス優勝は個人タイトルには加算されませんが、JPBAが公認する大会での優勝は今回を含め4つ目。実力者、酒井美佳、久しぶりの降臨でした。
「今回のミックスで一番うれしかったのは今まで契約していたボールメーカーを私の希望で替えてもらって、なお且つ優勝できたことです。今までのメーカーが悪いということではもちろんありません。ずーっと同じメーカーだったので、違うメーカーのボールで投げてみたかったんです。でも、それで悲惨な成績だったら、単なる私のわがままになってしまうし、プレッシャーはかかっていました。練習もものすごくしましたし。だから優勝できてよかったなあと思います」と話す彼女。
 「プレッシャー」で思い出すのは今から8年前のことです。
 美佳プロがシングルス戦(公式戦)で通算2勝目を挙げたトーナメントは、ボウリング界全体の大きな注目とともに始まったDHCレディースオープンボウリングツアーの開幕戦でした。人気女子プロということでツアー開幕直前、唯一のDHC専属ボウラーになった美佳プロが
 「ほんとうに大変なプレッシャーでした。勝ててよかったです」と話していたのをよく覚えています。

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 今回のミックス優勝もそうですが、このように
「大きなプレッシャーを自らの力に変える!」

 強いプロのアスリートでなければできないことです。
 ただ、そのような素振りを普段は全く表面に出さず、細やかな気遣いと笑顔を絶やさないホンワカムードなところが、常に見られている人気女子プロとしての自覚でもあるのでしょうが美佳プロの最大の魅力。だから今も多くのファンから愛され続けているのだと思います。
 今回のミックス優勝の要因については客観的にみても“パクプロと美佳プロが、共に要所でしっかりストライクを持ってきたこと”なのは間違いないのですが、美佳プロは3歳年下のパクプロについて「教え方がほんとうにうまいんです。私、ボウリングを教わりながらやっていました」としか言いません。こうしたどこまでも謙虚な姿勢をくずさないところも強さの秘訣なのだと思います。決して破壊力抜群のボールではない美佳プロ、ゆったりした投球フォームでしっかりとボールに体重を乗せ、十分なピンアクションを生むボウリングは実に見事でした。

 美佳プロは、先月、このコラムで2度目の登場となった大山由里香プロと私生活でも仲がいいことで知られています。ボウリング専門誌でもたびたび取り上げられてきた美佳プロと大山プロは、プロとしては美佳プロが4年先輩ですが、学齢は一緒、人気プロとしての悩みも共有しながらおよそ20年、女子プロ界を盛り上げてきました。「つい先日も一緒に食事しました」と美佳プロ。その2人がこのところトーナメントでしっかりとその存在感を示しているのは、長くプロボウリング界を見てきた身としてもとてもうれしいことです。

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 今回の優勝は最近の大山プロの活躍が刺激になりましたか?との問いに返ってきた答えは「そういうのはないですけど、昨年、父が近藤文美(JPBA21期)プロをパートナーにミックスを勝っている(酒井武雄プロは毎回パートナーを替えながら4度目のミックス優勝)ので、今年は私、という気持ちはとても強くありました。父娘で、それも違うパートナーで『酒井家』2年連続優勝などというチャンスは滅多にないじゃないですか。だからそういう意味でも優勝はとても嬉しかったですね」というものでした。
 父に憧れてプロになり、bPアイドルボウラーから、プレッシャーを力に変え、持てる力をしっかりと発揮するトップボウラーへ。そして、変則の父娘連覇!という強い意思。

 P☆リーグ放送開始当初からのメンバー「レーンのスーパーモデル」こと酒井美佳プロを
“人気に支えられて華やかな舞台を歩んできただけ”
などと思っている方が(たぶんいらっしゃらないと思いますが)もしいらっしゃるなら私は全面的に否定します。
 人気に押しつぶされることなく、ましてそこにあぐらをかくなどということは決してなく、自身のボウリング技術を着実に向上させて今に至っている…それはやはり、プロボウラーなら誰もがそうなのかもしれませんが、ボウリングへの大きな愛があったからなのだろうと思います。
 さらなる高みを目指してがんばってほしいです。

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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