四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−30

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●チーム戦が好きだから

 運動音痴…つまり、身体能力の低い私が、まがりなりにも本格的にやったスポーツは陸上の長距離です。弱い陸上部で、しかも万年予選落ちのランナーでしたので、とても「陸上長距離をやっていました」などと胸を張って言えるものではないですが、一応、代表的な個人競技である陸上をかじってはいました。
 ボウリングも個人競技、陸上同様、基本的に自分の技術を高めることのみに集中し、それが結果として表れるところに、喜びがあると思っていたわけですが、アマチュアトップレベルの選手に「なぜ、プロを目指さないのですか?」と質問するとよく返ってくる答えが「チーム戦が好きだからです」なのです。
 ふ〜ん、と思いながらも
「自分のスコアが上がって勝ってこそボウリングを競技としてやる喜びがあるんじゃな
いかなあ。チーム戦はその延長戦のものなんじゃないの?」と、どこか釈然としませんでした。
 しかし、今年、東京で開催された国体のボウリング競技を観戦していて、その気持ちがわかったような気がしました。確かにボウリングは、ストライクが出たり、スプリットをカバーしたりするとボックス内でハイタッチなどで盛り上がるところがあります。それはボウリングの持つ、競技としてのすばらしさの一つだとは思っていたのですが、国体の、特に4人チーム戦での熱気には圧倒されました。
 47都道府県のそれぞれの代表として地元の名誉をかけて優勝を争うわけですからチーム全体として1ピンでも多く倒し、みんなで喜びを分かち合う、優勝がかかる最終ゲームなど、4人以外もチーム関係者は1投ごとにどんどんボルテージが上がって、それはそれは大変な盛り上がりです。

「そんなの当たり前じゃないですか、今頃知ったんですか?」
と言われてしまいそうです。
すみません。

友情のメダル(ベルリンオリンピック1936年)
友情のメダル(ベルリンオリンピック1936年)

 私は、今までプロのシングルス戦が、観戦・取材の中心でした。アマチュアの場合も団体戦はあまり取材したことがありませんでした。自身でボウリングをやるときにチーム戦は、経験していますし、チームとして勝つ喜びがわからないわけではありませんが、やはり基本的には、自分のスコアを中心に考えるボウリングしか経験がありませんでしたから、これほどまでの盛り上がりには正直、驚きました。
 最終ゲームの劇的な逆転にも遭遇しましたし、逆転されそうになりながら踏ん張る強いチームワークを観ることもできました。これは「チーム内の盛り上がり」という見えない力によって、日頃の実力以上のもの――プラスαが発揮されたりするボウリングならではの“空間”が作り上げられるということなのでしょう。そんな感覚を一度でも味わったことがあれば「チーム戦が好き」になるのも道理です。ボウラーとして、プロではまず味わうことのできない感動がそこには確かにあるのだと思います。

 そういえば、私がかじった陸上長距離には駅伝という日本人が大好きな団体戦がありました。駅伝は日本発祥ですが、世界に広めようという動きもあると聞きます。トラック競技でも大会最後を飾るのは大抵1600m(400m×4)リレーと決まっています。そのときの
スタンドの盛り上がりは、格別のものがあります。陸上を愛する人も団体戦であるリレーは、やはり大好きなのです。
 陸上のリレー強化もいかにも日本的ではありますが、それが結実して2008年北京オリンピック400m(100×4)リレーで日本が銅メダルを獲得したとき、私は心の底から感動し、「日本人に生まれてよかった」と思ったものです。
 チームで勝つ。
 みんなで勝つ。
 曲解して、個性無視に走ってしまうことはいけませんが、この日本の古き良き伝統ともいえる考え方は、決して悪いことではないと思います。

 最後は少し、話がそれてしまいましたが、ボウリングのチーム戦、そのすばらしい盛り上がりを教えてもらったことに感謝したい国体ボウリング団体戦初観戦でした。

国立霞ヶ丘競技場
国立霞ヶ丘競技場

四家 秀治 (よつや・ひではる)


四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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