四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−39

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●夏の思い出と全日本小学生ボウリング競技大会

 「うわぁ、トンボが飛んだ!」
 7月某日、妻がすっとんきょうな声を上げました。
 妻は、たまたま見つけた杭のてっぺんに留まっているトンボ(シオカラトンボ)に
静かに近づき、写メで撮っていたのです。
 「そりゃあ、トンボだって『そんなに近づかれたら逃げるぜ』(男言葉)とばかりに
飛んで逃げたのさ」
と言うと「なぜ、オスとわかるの?」と、妻。
パッと見ただけでトンボがオスかメスかはわかるまい、といった口調です。

シオカラトンボ=オス

 なのは、子どもの頃、夏休みになると連日セミやトンボ、チョウなどを追い掛け回し、
昆虫図鑑などほとんど頭の中に入っていた私にとっては常識(ちなみにシオカラトンボの
メスはムギワラトンボ)なので、そのことを妻に説明すると、
 「ふうん」と一言。
 妻も自然に囲まれた環境で育っているのですが、子どもの頃から虫がきらいだった
らしく、虫(昆虫)についての知識がまるでないのです。
 虫がきらいなはずの妻がトンボを撮ろうとしていたのはナゾですが・・・。

皆さんは、
 「シオカラトンボのメスがムギワラトンボ」
って、知っていますか?

 そもそもトンボ自体、あまり都会では見かけませんから、私にとってのおよそ50年前の
常識は今では通用しないかもしれませんね。数年前、「ツクツクボウシは鳥です!」と、
ある高学歴の私よりかなり若いボウラーの方が自信満々に語っていたのを聞いて、
私は卒倒しそうになりましたから・・・(もちろん、ツクツクボウシはセミです)


 夏ですねえ。私が小学校を卒業しようかという頃、あの驚異的なボウリングブームが
巻き起こったのですが、あと数年、ブームの到来が早かったら、私はひょっとすると、
毎日手にしていた虫かごがボウリングのボールに変わっていたかもしれません・・・。
いや、当時の小学生にとって、ボウリングのゲーム代はかなり高かったので、やはり、
私は昆虫を追い掛け回していたかな?


 今月56歳になる私ですが、この歳になっても、気持ちが開放的になる夏は大好きです。
 およそ40日間の夏休みがある子どもの頃のことを思い出すということもあるのかもしれません。
 そう、この季節の主役は高校生も含めた子どもであると思います。

スジグロシロチョウ
スジグロシロチョウ

 そんな子どもたちの大会がJBC(全日本ボウリング協会)の主催で夏休みには
続けざまにあります。
 中学選手権、高校選手権はすでに7月に終わりましたが、今月は2日〜3日に、
小学生のための大会―全日本小学生ボウリング競技大会が愛知県の稲沢グランドボウルで
開催されます。この大会、早くも5回目になりました。今年も私は取材に行く予定です。
 初めてこの大会を取材した昨年、次々に高スコアを出す小学生を見てびっくりしまし
た・・・と表現すれば素直なんでしょうが、正直のところ驚きませんでした。
 私が小学生の頃は100以上出すことさえ大変でしたが、今とはボールの破壊力が
全然違います。今のボールでそれなりの練習を積めば、200以上出す小学生がいても
何ら不思議はありません。
 いわゆるハエの留まりそうなボールでも嬉々として200アップゲームに興じる
御高齢の方々をさまざまなリーグや大会で今までたくさん見てきましたので、
少なくとも活きのよさでは彼らに負けるはずのない小学生、
当然のようにしっかりスコアメイクしていました。
ですから、高スコアには何も驚かなかったのですが・・・こんなことがありました。

 6ゲームトータルで争うこの大会、最終ゲームを前にある選手が独走しかかっていました。
(ちなみに参加しているのは4年生以上、学年ごとに男女別の優勝者を決める方式です)
 その選手は最終ゲームに入って少しスコアが伸び悩み、にわかに緊迫感が漂って
きました。追い上げる選手は2人いました。
 この3選手の保護者の方々の盛り上がりはすごいものでした。
 それでも逃げる選手が優勢のまま、10フレームへ。ところがここで、
この選手はスプリット!!オープンフレームとしてしまいます。さあ、大変。
追い上げる2人のうちの1人にチャンスが生じたのです。
10フレ最後の1投がストライクならトータル1ピン差で逆転です。
 この選手は静かにアプローチに立ち、しっかり投げ、文句なしのストライク!
劇的な逆転優勝を飾ったのです。
 「最後がストライクだったら逆転なのはわかっていたの?」
と、小さな優勝者に聞くと、彼はニッコリ笑って「はい!」と元気な返事。
すると、その横で彼の父は「えっ!?お父さん、全然わからなかったよ。知ってたのかぁ・・・」

アカトンボ
アカトンボ

 以前、日本のボウラーはトッププロでさえ
 「スコアを見ると気が散って投球に集中できないからスコアを見ない」
 という人がたくさんいるということをこのコラムで書かせていただいたと思います。
 スコアを争うボウリングという競技で、優勝を目指しているのにスコアを見ないで
投球するというのは、どんな理由があろうとも私には理解し難いものがありました。

 この小学生は、冷静にスコアを計算し、どうしてもストライクが欲しいところで
ストライクを出して優勝したのです。
 しかも、応援に来ていた父(もちろん、ボウリングのことは十分理解している人です)
が興奮してその事実を知らなかったというなかなか面白い現象に小さな感動を覚えました。

 この小学生、少なくともメンタル面で将来有望だと思いませんか?

 彼はシオカラトンボとムギワラトンボの違い、知っているかなあ?

 今年は、どんな小さなヒーロー、ヒロインが新たに生まれるのか?
 今から会場の稲沢グランドボウルに行くのが楽しみです。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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