四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−45

 JOC竹田会長にJBC武部会長が要望書を提出(提供:JBC)
JOC竹田会長にJBC武部会長が要望書を提出(提供:JBC)
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●2020年に向け今こそボウリング業界が一丸となって

 1月10日、一般紙のスポ−ツ欄に「東京五輪実施競技 ボウリング名乗り」という
小さな見出しとともに十数行の記事が載りました。

「ボウリングをオリンピックに!」については一昨年の秋、
ちょうど2020年のオリンピック・パラリンピックが東京に決定、
と同時に28番目の正式競技にレスリングが再度決定した時期、
このコラムでは29回目に、私なりの持論を書かせていただきましたので、
気になる方はそちらも参照して今月は読んでいただけたら幸いです。

 IOC(国際オリンピック委員会)は、オリンピックを肥大化させないという基本的な考え方を持っていますので、
夏季オリンピックは『28競技』というのが一つのキ−ワ−ド、正式競技が今後28より増えるのは難しいですが、
それとは別にオリンピックを開催都市によって、実施するスポ−ツに流動性を持たせる方針を
最近になって出してきました。
これは2013年に就任したトーマス・バッハIOC新会長が提案してきたことで、
中長期計画「五輪アジェンダ2020」の一つとしてIOC内でも昨年暮れに承認されています。

 オリンピックは、かつて「公開競技」という形を取っていた時期がありました。
ボウリングは1988年のソウルオリンピックで公開競技になりましたが、正式競技になることは叶わず…しかし、(男子)野球や女子柔道などは公開競技を経て正式競技になりました。
そして(今、ソフトボールとともに復帰を目指している)野球は消滅し、女子柔道は生き残ったというわけです。

 現在のトーマス・バッハ会長を始めとするIOCは、
その国で盛んなスポ−ツがオリンピックでも行われれば当然、会場は盛り上がるので、
それによってオリンピックそのものに活気が出ればいい、だから
その大会でのみ行われる競技(種目)を「オリンピックで正式に行われるスポ−ツ」として認めようという考え方です。
もちろんそのような形で行われたスポーツが後に恒常的な正式競技となる可能性がなくはありませんが、
これはあくまでもオリンピックを大会ごとに盛り上げるためといえましょう。しかし、それでも肥大化はさせたくないので
競技というよりも種目ならある程度は…ということですね。(ただし、こちらも上限は310種目を謳っています)
「ボウリングを2020年東京オリンピックの正式競技へ、ではなく正式種目へ」
という表現になっているのはそのためのようです。
 つまり、ボウリング競技というと、シングルス、ダブルス、トリオ…などいくつも種目がありますが、
JBC(全日本ボウリング協会)としてはその中で基本的に男女のシングルスと混合ダブルスの採用を目指しているという意味、
だから競技ではなく種目なのだそうです。
 他の競技団体もこれは同様なので、
「●●を2020年東京オリンピックの正式種目へ」と言う表現になっているようです。

 ちょっとしつこいですが、競技と種目の違いは(わかりきっている方もいるとは思いますが)
例えば陸上(トラック&フィ−ルド)は競技であり、男子100m、女子走り高跳び、といったものが種目です。
 他競技でも、例えばレスリングは競技であり、
男子フリ−スタイル74kg級、グレコローマン60kg級、女子63kg級(女子はフリ−スタイルのみ)などが種目、
体操は競技であり、つり輪、あん馬、平行棒などが種目です。
 陸上は種目数が大会ごとに増えてきた顕著な例で、
私が子供の頃、女子に長距離種目は全くありませんでしたし、女子ハンマー投げ、女子棒高跳びもありませんでした。
 団体球技はほとんどが1競技1種目(男女の別はありますが)なので、
団体球技に従事している方は競技と種目の違いが理解しにくいかもしれませんね。

世界ボウリング連盟(WB)ドンバーガー会長が組織委員会森会長を表敬訪問(提供:JBC)
世界ボウリング連盟(WB)ドンバーガー会長が組織委員会森会長を表敬訪問(提供:JBC)

 さて、JBCは昨年暮れから今年にかけて「ボウリング競技実施推薦に関する要望書」を
JOC(日本オリンピック委員会)や東京オリンピック組織委員会に提出しました。
それは、2020年の採用を目指す他の競技団体も同様です。
 東京オリンピック組織委員会が種目を絞ったうえでIOCに提出するのですから、今が勝負。
今夏のIOC総会ですべてが決まってしまうので、他の競技団体も必死なのです。

 では、現実的に、ボウリングはどうでしょう?
 前回、このテ−マに触れたときにも申し上げたように世界テンピン連盟に加盟している国と地域は100以上に及んでいるという点、
大衆に愛されているという点でボウリングは問題ありません。
そして、もう一つの優位性はパラリンピックでの実施が容易であるということ。
身体障害者の大会は、これまたこのコラムで以前触れた日本ボウリング場協会が主催し、
JBC、JPBAとも連動して行われている宮様チャリティ大会が半世紀に及ぶ歴史を誇っていますし、
このような大会は世界的にも多く行われています。
 そして、障害者という点にフォーカスすれば、
知的障害者の大会、スペシャルオリンピックスでは
すでにボウリングは正式競技として世界的な歴史と伝統も持っています。

 新年恒例の日本ボウリング場協会「賀詞交歓会」では
来賓としていらっしゃったスペシャルオリンピックス日本理事長、元女子マラソンメダリストの有森裕子さんが檀上で挨拶をされ、
スペシャルオリンピックスにおけるボウリングの果たしてきた役割のすばらしさを語った上で、
2020年東京オリンピック・パラリンピックでのボウリングの採用に向けて熱いエ−ルを送ってくださいました。
有森さんが賀詞交歓会に出席されたのは初めてのことでした。

WBドンバーガー会長がJOC竹田会長を表敬訪問(提供:JBC)
WBドンバーガー会長がJOC竹田会長を表敬訪問(提供:JBC)

 1月19日には、JBCが全メディアを集め、「ボウリングを2020東京オリンピック・パラリンピックに!」ということで記者会見も開き、武部勤会長を始めとするJBCは意気込みの大きさを披露もしましたし、全日本視覚障害者ボウリング協会の青松利明会長も熱意を示して下さいました。

 しかし・・・
 問題もあります。

 日本のボウリング界はなかなか足並みが揃いません。

 話しは少々飛びますが、日本のバスケットボールは、現在FIBA(国際バスケットボール連盟)から制裁を受け、
男女ともオリンピックはおろか国際大会にさえ出場できない状況にあります。(この原稿を書いている1月20日現在)
これは日本国内での男子の最高峰のリーグ戦が
主義主張の違いから2つに分裂してしまっている状態が長く続いているためです。
FIBAは再三に渡って「統一するように」日本バスケットボール協会に半ば警告に近い形で言い続けてきたのですが、
実行に移せる指導者、責任者がバスケットボール界には現れず、このような事態に陥ってしまったわけです。
今も高い競技レベルを維持している女子はともかく、かつてはアジアの盟主だった男子は弱体化してしまっていて、
2020年の東京オリンピックは地元開催という特別な状況であっても(リーグが分裂していなくても)
出場できるかどうか微妙というほどの競技レベルですが、
とにかく国内で競技団体がまとまっていない状況は国際社会では認めてもらえないのです。
世界有数の競技人口を誇るバスケットボールがオリンピック競技から除外されることはまず考えられませんが、
日本のバスケットボールプレ−ヤ−はオリンピック出場という夢が壊されてしまっているのです。

 ひるがえって、ボウリングは、アメリカではプロもアマもなく、国際大会に出場しています…というより、
オリンピックは皆さんもご存じのようにとっくの昔にアマチュア最高峰の大会などではなくなっています。
(中にはプロ出場不可という仕組みにならざるをえない競技もありますが)

 そんな中、JBP(ジャパンボウリングプロモ−ション)の仕切りで
賞金総額2300万円、優勝賞金500万円の大会、
DHCカップPBAジャパンインビテーショナルツア−2015が東京で開催され、1月18日に終了しました。
 PBAトッププロの大半が来日したすごい大会ですが、
JBPがほとんど告知しなかったために、一般の人はたぶん誰もこの大会のことを知らないでしょう。
1月19日のJBCの記者会見は「オリンピック」というとても大きなテ−マだから当然ではありますが、そこに来ていたスポ−ツに関わるメディアは誰一人として前日のDHCカップには来ていませんでした。
JBPの広報体制はナゾです。
しかし、もっと大きな問題はこの大会にJPBAのプロが出場していなかったことです。
 昨年11月のジャパンカップでは今回とほとんど同じPBAのメンバ―とJPBAの精鋭たちの真剣勝負が見られたのに…
 PBAの選手達もなぜ?と思っていたことでしょう。

その理由については、複雑な要素が絡んできますのでここでは申し上げません。
賢明な読者の皆さんのほうがむしろよくご存じかもしれませんね。
重要なのは、このような状況では国内で競技団体がまとまっていない印象を持たれてしまうということです。

 前述の賀詞交歓会で、名実ともに現役日本一のプロボウラーJPBAの川添奨太プロが
「今こそボウリング界が一丸となって2020年に向けてがんばらなければいけないと思います」という
快哉を叫びたくなるようなすばらしいスピ−チをしました。
 まさにそのとおり!!!

 一丸となってもらいたいものです。


四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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