四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−46

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●ボウリングはストライクが出ることに喜び、感動できるスポーツであってほしい

 JPBA(日本プロボウリング協会)が 
先月申し上げた、ボウリングを2020年の東京オリンピックの種目に!に諸手を挙げて賛同し、ホームページ上でもJBCと協力してなんとか実現を!ということをトップで謳っています。(2月19日現在)
 すばらしいことです。
 IOC(国際オリンピック委員会)は追加種目の決定を1年遅らせ、来年の8月の総会で、ということになりました。
 ただし、2020年東京オリンピック組織委員会がIOCに候補種目を絞って提出するのは
 今夏、どちらにしても時間は限られています。
 ボウリング業界が力を合わせてほしいですね。

時本美津子プロ(第37回JLBCクイーンズオープンプリンスカップ優勝)(提供:JPBA)
時本美津子プロ(第37回JLBCクイーンズオープンプリンスカップ優勝)
(提供:JPBA)

 ところで、そのJPBAですが、厳密にはJLBC(ジャパンレディースボウリングクラブ)主催の大会なので、表現がむずかしくなりますが、とにかく昨年暮れのプリンスカップの結果が私はずーっと気になっていました。
優勝した時本美津子プロ(JPBA7期)は見事でした。大会2連覇だっただけでなく、最年長優勝記録まで塗り替えた・・・敬服です。
時本プロは長年にわたって取材させていただいています。
 若い頃から大変な実力を持ちながらマッチゲームに弱く、なかなかタイトルが増えていかなかったことや、勝ち始めてからの無類の強さ、そして、未だ衰えることのない勝負強さ。全てに於いて、多くの後輩プロボウラーには見習ってほしいと思える人格的にもすばらしいプロだと思います。
 だからプリンスカップ優勝には心からお祝い申し上げたい気持ちです。
 ただ、その時本プロ、この大会でパーフェクトゲームを2回も出しました。決勝では279を出して優勝。8フレで10ピンが残っただけであとは全てストライクでした。ちなみに、2回のパーフェクトゲームのうち1回は準決勝でマークしています。
 決勝の対戦相手は姫路麗プロ(JPBA33期)。準決勝では4フレで10ピン、6フレで9ピンを残し259で決勝進出です。
 姫路プロの決勝のスコアは261。3フレで厚めに入り、3、4、6、7、10ピンを残すスプリットでテイク3のオープン。これ以外は全てストライクですからストライクの数は時本プロと同じ11回です。
 この結果を皆さんはどう思うでしょう?
 時本プロは準決勝と決勝で25回しか投球していません。10ピンが1回残った(つまりポケットはついている)だけでその時だけスペアを取りに行きましたが、あとは全てストライク。
 一方姫路プロは27回です。あきらかな失投は決勝の3フレだけであとはストライクにならなかったフレームも残ったのは10ピンと9ピンです。これが意味するのはポケットをついて残った10ピンとやや厚めで食い込み過ぎて9ピンが残ったということ。
 時本プロと姫路プロは2人あわせても準決勝と決勝で2投目を投げたのは4回だけ。それ以外の投球48回でストライクになりそうもなかったのは姫路プロの3フレ1投目だけなのです。

姫路麗プロ(第37回JLBCクイーンズオープンプリンスカップ準優勝)(提供:JPBA)
姫路麗プロ(第37回JLBCクイーンズオープンプリンスカップ準優勝)
(提供:JPBA)


 「なんとハイレベルな大会なのだろう!」
で済ませれば簡単ですが、気になるのは時本プロが2回マークしたパーフェクトゲームが、それ以外にもプロだけで8回も出ていることです。アマも5回ですから合計すると15回。

“パーフェクトゲーム”

は直訳すれば
『完璧なゲーム』
です。

近年、300点が頻繁に出るので、皆慣らされてしまっているんだと思いますが、
『完璧なゲーム』、つまり非の打ち所がない完璧な投球を12回続けることなどどんなに優れたボウラーでもそう易々とできるはずがありません。それが一つの大会で15回など絶対にないと言ってもいいでしょう。

それでも1フレから12投連続でストライクを出したらパーフェクトゲームと表現されるのがボウリング。300点以上はないのでパーフェクト、ということなので、なんだかパーフェクト本来の意味が軽くなっていくようでこれだけ乱発してしまうと、私は釈然としません。

付け加えると、この大会では4Gシリーズも記録が大会期間中に3回更新されました。
最新の記録はこのコラムにも昨年登場していただいた桑藤美樹プロの1092。
270アベでもこんな数字は出ません。3回更新されたこととも合わせ、
これも異常です。

 もちろん、私はこの大会に出場した女子プロの実力がないなどと言うつもりはありません。
 でも、失礼ながら彼女たちが世界のトッププロなどでないことだけは明らかです。

 私が申し上げたいのは、こんなハイスコアレーンを作ることに一体何の意味があるのでしょう?ということです。
 1週間前、同じ品川プリンスホテルボウリングセンターで行われた女子の全日本選手権もパーフェクトゲームこそ4回でしたが、800シリーズが6回、通算36ゲームトータルでアベレージ230以上が9人、トップシードで決勝ステップラダーに進出した近藤文美プロ(JPBA21期)のアベレージは241.97。ハイスコアの連発です。

 もう一つ付け加えるなら、11月の終わりに同会場で行われたアマチュア最高峰の大会、宮様チャリティ大会の男子で、予選12ゲームトップ選手のアベレージは267でした。
 アマチュアの大会でもこんなハイスコアレーンにする意味があるのか?
 疑問です。

松永裕美プロ(第46回全日本女子プロボウリング選手杯権優勝)(提供:JPBA)
松永裕美プロ(第46回全日本女子プロボウリング選手杯権優勝)
(提供:JPBA)


 巷のボウリング場の簡単なレーンコンディションでストライクを連発して喜んでいるような一般のアマチュアボウラーは別にいいんです。それでその人は幸せだし、またそのボウリング場に来てくれればボウリング場も儲かってレジャー産業としての業界は言うことなしでしょう。

 でも、ボウリングをスポーツとして世に訴えるなら、権威ある大会では、ストライクを出すのが簡単(と言っては言い過ぎかもしれませんが)なレーンコンディションではいけないのではないでしょうか?どんなにボールが進化しても、です。

 IOCが、あるいは2020年東京オリンピック組織委員会がわざわざ昨年のプリンスカップをとらえて

 “ボウリングの競技としてのあり方”

 を検証するなどということはないでしょうが、高スコア連発の大会にはもうほんとうにウンザリです。

 ボウリングはどこまで行っても
ストライクが出ることに、喜び、感動できるスポーツであってほしい。

 私の主張は変わりません。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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