四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−52

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●「ボウリングJAPAN WAY」を編み出してこそ本当の“プロ”

 私はまだ小学生でした。寒風吹きすさぶ秩父宮ラグビー場、
父に連れられてそのバックスタンドに座りました。
 「バックスタンドのほうが、陽が当たるから暖かくていいんだ」
学生の頃ラグビーをやっていてラグビーが大好きな父はそう言っていました。
父は半ば強引に私をラグビー観戦のため真冬の秩父宮ラグビー場に連れ出したのです。
 私以外、観客席に子供は誰もいませんでした。
 ルールはちっともわかりませんでしたが、
激しいタックルの迫力とボールを持った選手がディフェンスをすり抜けた時のスピード感、
自分を殺してボールを繋ぎトライが決まる瞬間の感動!
私はすぐにラグビー観戦が大好きになりました。
 その頃、世はボウリングブーム勃発、
そのブームに私がしっかり嵌ったことは以前にもこのコラムで申し上げました。
だからラグビーとボウリングはほぼ時を同じくして私の中に入り込んできた大きなすばらしい“文化”なのです。
ラグビーに関わる仕事、すなわち実況もすでに4半世紀前からやらせていただいています。
そのラグビーが…日本のラグビーが、世界をアッと驚かせるとんでもないことを成し遂げました。
ワールドカップで、南アフリカ代表スプリングボクスに勝ったのです。
スプリングボクスといったら、
ラグビーを知らない人でも知っているラグビー王国ニュージーランド代表オールブラックスが、
長い間、通算成績で唯一負け越していた(今は勝ち越しましたが)相手であり
ワールドカップも1995年と2007年の2回制している常に世界の頂点を争う超がつく強豪。
そのあまりにも強大な敵に1991年以来ワールドカップで勝っていないラグビー弱小国日本が
本気で勝とうとすること自体、常識的には考えられないことです。
しかし、彼らはやりました。1日に3部練習、ときには4部練習。
食事も徹底管理。身体づくりに細心の注意を払い、体格では絶対勝てない相手に
どんなに走っても当たり続けてもヘバることのない凄まじい体力と、
どこにも負けない細かなパススキル、ハンドリングスキルを身に着け、
最後の最後には完全に走り勝って劇的な逆転トライを奪ったのです。
何が言いたいのか?
ラグビーは国籍に関係なく国の代表になれる制度になっていますので、日本代表には外国人も多く含まれてはいますが、
彼らは皆等しく日本人のメンタルをとても大事にしているナイスガイです。
加えてヘッドコーチであるエディ・ジョーンズさんの母親は日系アメリカ人、奥様は日本人。
日本人に合った練習、日本人ならではの強化方法で時間をかけて指導し、強くしたのです。
「日本代表といったって外国人ばかりじゃないか」とけなす人がいたら真っ向から否定します。
彼らは立派な日本人のメンタルを持った日本代表です。
もっと言うなら世界に純国産の代表チームなどほとんどいません。
ニュージーランドもオーストラリアもイングランドも…。
それがラグビーというスポーツでもあります。
それに、考えてもみてください。
外国人プレーヤーは、試合中、大きなミスでもしたら
「なんであんな下手くそな外国人を使って日本人を使わないんだ」
と言われるわけです。彼らの日本代表としてのプレッシャーは大変なものなのです。
ちょっと話が横道にそれましたが、
つまり、ボウリングも日本人ならできる。日本人のメンタルならできるはずということが私は言いたいのです。

すべての競技ボウラー(特にプロ)のみなさん、
どうやったらピンは倒れるのかという研究と努力、
いつでも300点をめざせるような技術を身に着けるべく
日々鍛錬していますか?
例えば、指先の筋肉を鍛えたり、使い方を研究したりしているでしょうか?
手首の使い方についても同様です。微妙なコントロールを身に着けるような努力は?
トーナメントでは1日に10ゲーム以上投げたりもするわけですが、
その集中力の持続法についてや筋肉の鍛え方、あるいは体力の強化については?
PBAのトップボウラー全員が常に300しか出さないのならともかく、そうではない、
つまりパーフェクトではないのですから彼らに日本人が勝てる部分がないはずはありません。
彼らよりいい投球をして彼らよりいいスコアを出せばいいのですから。
アジアの強豪ボウラーについても同様です。
彼らはなぜ日本人よりすごいスコアを出せるのか?徹底研究し、それを凌駕すればいいのです。
「素人が簡単に言うな!」
と怒鳴られそうですが、エディ・ジョーンズさんは
日本のラグビーを世界の頂点を争うチームに勝つほど強くするのに4年近くかけたのです。
ボウリングも時間をかけ、日本のレベルを世界一にしてほしい。
20年前、ニュージーランド代表オールブラックスに145点も取られて惨敗し、
世界から酷評されても私は日本のラグビーを愛し、公私ともに応援してきました。
そのラグビーがやってくれました。ボウリングができないはずはありません。

国立代々木競技場
国立代々木競技場

私は今さら申し上げるまでもなく、もちろんボウリングをラグビー同様愛しています。
しかし、残念ながら2020年の東京オリンピックでボウリングが採用される可能性はなくなりました。
JBCを中心とするボウリングのオリンピック採用に向けた取り組みについては、
ここで私は何も言う資格がないので申し上げません。
また採用されなかった理由についても憶測を含みいろんな情報が飛び交っていますが、それについても申し上げません。
とにかく日本のボウリングはどんなにカッコつけたところで
残念ながら実力がアジアbPではなく、PBA勢には正直のところ歯が立たない…つまり、強くありません。
メダルを狙うのが厳しい日本の競技力ではどんなアピールもどこか迫力に欠けたのではないかと私は思っています。
「日本のためではなく世界のボウリング界のためだ」
というなら2020年の東京オリンピックで採用する必然性には乏しいでしょう。
「ではIOC(国際オリンピック委員会)に提出された5つの競技団体は東京オリンピックで採用するにふさわしいのか?」
という意見も当然あるでしょう。でもボウリングがふさわしいという論拠にも乏しいなら、条件は五分五分です。
所詮は組織委員会が決めること。従うしかないのです。

日本初の金メダル(アムステルダムオリンピック1928年三段跳 織田幹雄)
日本初の金メダル
(アムステルダムオリンピック1928年三段跳 織田幹雄)

「ボウリングは日本でとても人気がある。しかも日本は強い」
なら、2020年の東京オリンピックで採用されるための説得力を持つと私は考えます。

ラグビー日本代表のエディ・ジョーンズヘッドコーチは、日本が世界の強豪国と戦う日本独自の戦術を
「JAPAN WAY」
と名付けて実践しました。
ボウリングでは対戦相手がどんなに大きくパワフルでも
ラグビーと違って相手をタックルして倒さなくても、ピンさえ倒せば勝てます。
小さい身体でも、指が短くてもピンを倒せる技術を身に着けるのです。無論身体を鍛えることも大切でしょう。
「ボウリングのJAPAN WAY」を編み出してこそ本当の
“プロ”
だと思います。
えっ!?「いいボールさえあれば」ですって?
そんな発言は一切認めません。

 オリンピックに採用されなくてもボウリングのすばらしさを世間に認知させる方法はいくらでもあるのです。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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