四家秀治の「ナイス!ピンアクション」−61

 佐々木智之選手(提供:JBC)
佐々木智之選手(提供:JBC)
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●ナショナルチーム・キャプテン 佐々木智之 選手

 今回は5月に行われた第50回NHK杯全日本選抜ボウリング選手権の男子で
4年ぶり3回目の優勝を遂げた佐々木智之選手です。
 佐々木選手はJBC(全日本ボウリング協会)で長く活動し、2003年にナショナルチーム入り。
昨年から男子のキャプテンを務めています。
 昨年といえば、2020年の東京オリンピック追加種目(競技)にボウリングが選ばれるか否か?で話題になった1年。
 記者会見場でボウリング選手を代表する立場で取材を受けることも多かったと思いますし、
テレビ、新聞等でも彼の名前を散見しました。
 活き活きとした口調で話す佐々木選手のエネルギーがそのまま
JOC(日本オリンピック委員会)にも届けばよかったのでしょうが、
残念な結果になったのは皆さんもご存じのとおり。
 その後、JBCは世界ボウリング連盟からIOC(国際オリンピック委員会)に直接働きかけてもらえないか?という申し入れをし、
まだオリンピックへの思いを完全に断ってはいませんが、進展があったという話は聞きません。
「スポーツボウリングを多くの方に理解していただけるチャンスと思っていただけに残念です」
と佐々木選手も語っています。
 その佐々木選手自ら「私を育ててくれた」と話す新杉田ボウルが5月29日で営業を終了、すなわち閉館しました。
私がこのコラムで今まで何度かコメントを引用させていただいた
現在はライセンスを返上した西城正明元プロもかつては所属していた
名門と言っていい新杉田ボウルがなくなってしまった…。
また大事なボウリング場が一つ消えたという印象です。
「私にとって地理的にも一番近いボウリング場でした。まさに地元。
初めてボウリングをしたのは10才のときでしたがそれ以来ずーっとです。
様々なレーンコンディションで練習をさせてくれたのも大きかったですし、
ボウリング教室もさせていただきました。
ただ投げて練習してもそのレーンコンディションがイージーなものでは
試合のための練習にはならないですから、私が望むようなコンディションでできたというのはとても大きかったですね。
他のナショナルチームの選手に聞いても、そのような環境は少ないようですし、
私はめぐまれていたと思います。ほんとうに感謝しています。
今後は湘南ボウルにお世話になることが決まりましたが、
湘南ボウルの方も理解があって今までと同じようにしてくださるということなので、
新杉田ボウルがなくなってしまったのはとても残念ですがホッとしているところです。
もし許されるものならときどきでいいですからナショナルチームの他のメンバーも呼んで
大会仕様のレーンコンディションで一緒に練習できたらなどと考えています」
 湘南ボウルでもボウリング教室はできるそうで、佐々木選手はプロではありませんが、
今までも、そしてこれからもボウリングとともに生きていると言えそうです。

佐々木智之選手(提供:JBC)
佐々木智之選手(提供:JBC)

 彼は、3度目の優勝を飾った今年の全日本選抜での勝利者インタビューのとき、
ボールについて、全く触れませんでした。
傍目にはタイミングのいいボールチェンジは勝因の一つのようにも見えましたが・・・。
「スポーツボウリングを広めたいという思いがあります。
ボールの選択がよかったなんて言ったら、ボウリングを知らない方には
『な〜んだ。ボウリングはボールさえよければスコアが出るんだ』
と思われてしまうかもしれません。ボウリングはそんな簡単なスポーツじゃないですし、
トータルピンを争う予選と最後の勝負であるマッチゲームとでは戦い方も違います。
ボールも含めた戦術、戦略、作戦、そして当然のことながら技術がなければ勝てないことをわかっていただきたいですから」
と、ボールについて触れなかった理由を説明してくれました。
 普段から私が主張したいと思っていることを佐々木選手が代弁してくれているようでした。
 また、佐々木選手というと思い出す昨年の国体です。
 レーンが荒れ、アジャストに多くの選手が悩んでいるとき、彼は18.3mのレーンの長さ、
その3分の2ぐらいまで遠くに投げてアジャスト。一人高得点をマークし、涼しい顔をしていました。
「初めてやったわけじゃありません。国際大会では外国の選手は平気でやっていることですし、練習でもやってきましたから」
 背景に、新杉田ボウルでの練習環境というのはあるでしょうが、
このような“型にはまる”選手ではないところも彼の魅力です。

佐々木智之選手(提供:JBC)
佐々木智之選手(提供:JBC)

「昨年、ワールドカップに出場しました。すべてが初めての環境でしたが
それでも8人のラウンドロビンに8位で残り、最終順位は5位でした。
よくやったかな?と思う反面、最後のステップラダー3人に残るにはかなりピン差があったのもまた事実で悔しさもありました。
ナショナルチームでの海外遠征だとチーム戦重視で、それはそれで充実するんですが、
昨年のワールドカップのように個人戦にだけ集中するのもまた新鮮でしたし、
次にまた挑戦のチャンスがあれば今度は…という思いもあります。
でも、今年はなんといっても秋のアジア選手権です」
と力がこもりました。

 最大の敵が韓国なのは間違いありませんが、アジアには強い国が目白押しなのも皆さんご存じのとおりです。
 特に韓国はナショナルトレーニングセンターとしてのボウリング場もあり、
トップレベルの選手達には佐々木選手の比ではないめぐまれた練習環境が整っています。
「韓国の選手たちと戦っているときいつも感じるのは、完全に見下されているということです。
彼らは『日本の選手に負けるわけがない』と思っていますからね。
練習環境の違いも大きいと思います。でも、いつも練習していれば勝てるというものでもないでしょう。
アジア選手権の男子5人チーム戦は2006年に3位になって以来、
上位にいけていないので、今年は!という思いもあります。
少ない練習時間で、彼らに比べたらめぐまれない環境でも戦えることをなんとか証明したいですね」
 あくまでもポジティブに前を見つめる佐々木智之選手に
皆さんも、ぜひ、エールを送ってください。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ− 2011年7月からはフリ−。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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