四家秀治の「ナイス!ピンアクション」-63

 
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●「巨泉のチャレンジボウル」

 皆さんは、今から50年近くも前、大橋巨泉という名のプロ顔負けの
すごい技術を持ったボウラーがいたのをご存じでしょうか?
 そう、7月12日に82歳で亡くなられた大橋巨泉さん、
その人のことです。

 私は大橋巨泉さんには一度もお会いしたことがないし、
関係者の方にも何もお断りしていないので、巨泉さんのことを書く資格はないのですが、
私の知る限りでは巨泉さんのボウリング界への貢献度の大きさについてなど誰も話されていないので、
巨泉さんへの追悼の思いもこめてここで書かせていただきます。

 新聞報道などで大きく扱われた巨泉さんの実績ついては
テレビ黄金期において、番組司会者としてすばらしかった…
つまり

「名司会者であった」

というのがほとんどでした。

 しかし、これは申し上げるまでもなく巨泉さんの偉大さの一端でしかありません。

 若輩ものの私ではありますが、巨泉さんを最もすごいと感じるのは

キングオブスポーツ競馬にはロマンを、
麻雀にはゲームとしての高い競技性を

など
独自の視点で、
ありとあらゆるレジャー、あるいはギャンブルなどと呼ばれるものについて語り、
さらに、戦後、日本人の余暇の過ごし方のあるべき姿を語られたことだと思います。
その巨泉さんの視点のほとんどが正しかったということも今になってみるとよくわかります。



しかも、麻雀、ゴルフ、釣り…etc.には、
一家言を有するレベルを越えた理論、技術を持った方であり、
本業はジャズ評論家でした。

 その巨泉さん、当然のことながら、
少なくとも当時は“レジャーの王様”であったボウリングも
とてつもなく上手い方でした。

 このコラムでも何度か申し上げた驚異のボウリングブームが吹き荒れた1970年代初頭、
1週間に17本ものボウリングレギュラー番組がありましたが、その中の一つに

「巨泉のチャレンジボウル」(東京12チャンネル=現テレビ東京 1971年4月4日~10月3日 毎週日曜夜7時)

という1時間番組がありました。

同じ時間帯にTBSで「美しきチャレンジャー」というボウリングスポーツ根性ドラマ(30分間)
が放送されていて、ビデオなどなく、まだリモコンもない時代、
チャンネルをカチャカチャ換えつつ、両番組を観ていたのを思い出しますが、
その「巨泉のチャレンジボウル」の中で、
巨泉さんは現在にも通じるたくさんのボウリング理論を述べられています。

 当然のごとくワンポイントレッスンのコーナーもあり、今と違って
「ボールをどうやって曲げるか?」などについても
論理的に説明を加えていらっしゃいました。
その中で、今でも忘れられないのは
「⑩ピンはタップではない」ことを明確に示し、
どうすれば⑩ピンが残りにくいボールを投げられるか?
どういうボールだと⑩ピンが残ってしまうか?
についてしっかりと説明されていたことです。
「あえて言えばタップと呼べるのは⑧ピン」であることも述べていて、
当時中学生であった私はこれをハッキリと記憶に留めたものです。

だから、今もボウリング実況アナウンサーの端くれである私ですが

「オーッと⑩ピンタップ‼」

などという私に言わせれば戯けた表現をする
訳知り顔のアナウンサーの実況を耳にすると
呆れて音声を消したくなります。
 まあ、もっとも私も失敗ばかりしている実況アナウンサーですが…。

「巨泉のチャレンジボウル」では
巨泉さんと故大橋明プロ(JPBA6期生)が“大橋コンビ”としてダブルスを組み、
有名女子プロのダブルスと真剣勝負をするコーナーもあり、
巨泉さんはその中で、ご自身の技術の高さも存分に示されていました。
蛇足ですが、私はこの番組によって“驚異の速射砲投法”大橋明プロの大ファンにもなりました。
 後に私はテレビ東京のアナウンサーになるのでこの番組のホメ過ぎはいけないと思いますが、
とにかくボウリングのいろいろな要素が詰まった大変意義深い番組だったと思います。
 ただ、「巨泉のチャレンジボウル」のVTRが1本たりとも残っていないこともテレビ東京に入社してわかってしまいましたので、その意義深さを映像で証明できないのが誠に残念なのですが…。



 とにかく、大橋巨泉さんがボウリング界に多大なる貢献をされた方
であることをどうか皆さんの記憶に留めていただきたい。

 心からそう思います。

 何年、いや、もう何10年も前から巨泉さんはボウリングについて何も語らなくなっていました。
 その真意は、繰り返しになりますがお会いしたことがないのでわかりません。
 もう叶うことはありませんが、今のボウリングというスポーツの
ボールの進化という変化について、巨泉さんのご意見を伺いたかった…

 そんなことを考える日々の私です。

四家 秀治 (よつや・ひではる)

四家 秀治 (よつや・ひではる)

元テレビ東京アナウンサ- 2011年7月からはフリ-。テレビ東京在職中は、ボウリングの実況を多数経験。東京運動記者クラブボウリング分科会代表幹事と、武部勤衆議院議員が会長であるボウリング評議会の理事を2011年3月まで務めた

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