健康寿命を延ばすには足腰の筋肉が重要−1

 三浦雄一郎 氏 1932生
三浦雄一郎 氏 1932生
第1回

●健康寿命を延ばすには足腰の筋肉が重要

 80歳で世界最高峰エベレストに登頂し、ギネス世界記録を樹立した冒険家の三浦雄一郎氏と、運動医学会を牽引する京都大学・森谷敏夫名誉教授が、健康寿命と筋肉の関わりについて語り合いました。

三浦雄一郎氏(以下三浦氏) 僕は60代でメタボになって。それからエベレストに登ろうと発起したけれど、今度は心臓にトラブルが起きて、不整脈の手術を7回やっているんですよ。森谷先生とお会いしたのは多分4回目の時。やっぱり手術した後は、すぐトレーニングできないし。足腰が弱りそうで不安になって・・・・・・。

森谷敏夫名誉教授(以下森谷氏) 僕はずっと筋肉を電気で刺激する方法を研究しているので、その映像をお見せしたんですよね。そしたら「すぐ京大に行くから」と。

三浦氏 もう早速先生の研究室にお邪魔して、筋電気刺激装置を試したんです。

森谷氏 人が筋肉を動かす時は、脳から筋肉に電気信号が伝わります。僕が研究している「筋電気刺激」は、脳のかわりに皮膚の表面から電気を流して、直接鍛えたい筋肉を刺激する。京大の整形外科では、膝の十字靭帯を切ると脚が曲げられず通常のリハビリができないので電気刺激でトレーニングしていたんです。すると入院前よりも脚の筋肉が明らかに大きくなって退院する事例がいっぱいでてきて。

三浦氏 脳にも作用してるんじゃないですかね。運動する脳の領域の活性化といいますか。

森谷氏 そうですね。足腰の筋肉の劣化予防だけでなく、認知機能低下の予防にも可能性が見えてきた。今、そこに向けて精力的に研究を進めているところです。

森谷氏 僕にとっての筋肉は、すべての健康の根本。脳の健康、心の健康、全身の健康に不可欠な「臓器」なんです。たとえばメタボリックシンドローム、つまりメタボは食べ過ぎのせいだと考えられがちだけれども、実は筋肉が衰えた結果、代謝が落ちたりしてメタボになっている人が多い。筋肉は脂肪と糖質を大量に燃やす臓器なので、脂肪が大きくならないように筋肉を鍛えて維持しておくことが非常に大事なんですね。

三浦氏 とはいえやっぱり80歳を過ぎて心臓病を抱えていますと、どうしても運動する気持ちが段々起きなくなる。「運動しても無駄ではないか」と、そんな気持ちになるんですよね。それでも毎日必ず歩きますから、歩くことが全部トレーニングになるような生活習慣にしています。僕は普段から足首に重りをつけているんです。外出する時は15〜20kgくらいのリュックを背負って「どっこいしょ」という感じで歩いています。

森谷氏 負荷をかけて自然にトレーニングすると。

三浦氏 はい。僕の場合は非常に筋力を必要とする仕事ですから。それも空気の薄い厳しい条件で。特に高い山では少しずつしか歩けないので、筋力が低下する可能性もあるわけです。でも2016年のヒマラヤトレーニング遠征はSIXPADをつけていたおかげで筋力が落ちなかった。

(つづく)

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