日本柔道の強さを世界に示すために

 
井上康生監督
井上康生監督

●日本柔道の強さを世界に示すために 

柔道日本代表男子監督 シドニーオリンピック男子柔道100kg級金メダル 井上康生 氏

 5歳で柔道を始めました。警察官で柔道家でもあった父が、大きな相手を投げ飛ばす姿を見て、「自分も強くなりたい」と思ったのがきっかけです。小学生と中学生で全国優勝しましたが、その頃に父が発したのは「ただ勝つのではなく、人に感動を与える柔道を身につけなさい」という言葉。これを機に、「投げて勝つ」という攻撃的な柔道をめざすようになりました。父には、礼儀についても厳しく指導されました。少しでも礼を軽んじたふるまいをすると、その場で叱責。指導者としての私の土台は、この時代に学び得たといえます。

 全日本柔道男子監督に就任したのは、2012年。34歳の時でした。指導経験が浅いために不安もありましたが「日本柔道を世界に示したい」との思いが勝りました。まず取り組んだのが、練習法の見直しです。イギリス留学中に「海外の選手が、日本選手の3分の1ほどの練習量で勝てるのはなぜか」と疑問に思い、練習風景を見学するうちに気がつきました。それは、質の高さでした。効率を重んじ、試合を想定した練習が中心でした。

 日本の「柔道」と世界の「JUDO」は、別物といわれています。実際に「JUDO」は、各国の格闘技の複合体となっています。そこで、格闘技をルーツから徹底して研究。その対応策を講ずるとともに、寝技を強化して総合力を身につけるなど、実戦型の練習に切り替えていきました。

井上康生 氏
井上康生 氏

 また「意識」とともに、「体力」の改革も行いました。海外の選手に勝つためには、技術力を高める必要があり、そのためには総合的な体力が欠かせません。追求したのは「柔剛一体」です。ボディビルダーなどの専門家の力を借りて、トレーニングメニューから食事、休養まで、選手一人ひとりに応じたプログラムをもとにコーチングを行いました。

 どれだけ努力をしても、いくら実力があっても予期せぬことが起こるのが国際大会です。大きな舞台になるほど、自分の力をいつも通りに発揮できる選手が勝ち残っていくと感じています。世界の「JUDO」は、確実にレベルアップしています。日本柔道が世界で戦っていくためには、科学的アプローチもさらに重要になるでしょう。変化に柔軟に対応しながら、挑戦し続けていきます。

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